2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代光源で極低エミッタンス実現に必須なバンチ伸長時の過渡的ビーム負荷補償の実現
Project/Area Number |
21K17997
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
内藤 大地 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30788237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 次世代放射光源 / 高周波加速 / 過渡的電圧補償 / 広帯域空洞 / バンチ伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は次世代リング型放射光源での極低エミッタンス達成に必要不可欠な理想的バンチ伸長を実現するため、バンチ伸長に用いられる主空洞と高調波空 洞内に発生する過渡的電圧変動を補償するシステムを確立することである。令和4年度は前年度に製作した補償用広帯域空洞 低電力用モデルの性能評価と電磁場シミュレーションとの比較について、第19回日本加速器学会で報告した。一方で広帯域空洞内に発生する不要な高次の電磁場モードを減衰させるためのRF吸収体を製作し、低電力用モデルに組み込んだ。そして高次の電磁場モードを測定するために必要なプローブアンテナの形状を電磁場シミューレーションを用いて決定し、製作を行なった。このプローブアンテナを用いて、低電力モデルにRF吸収体を組み込んだ時と取り外した時の、高次 電磁場モードとプローブアンテナとのRF結合の度合いを比較し、高次の電磁場モードがRF吸収体で減衰できていることを確認した。さらにこの測定結果を電磁場シミュレーションと比較し、高次の電磁場モードが想定通り減衰できていることを明らかにした。これら前年度と今年度の測定結果から、申請者が世界で初めて提案した次世代リング型放射光源における過渡的電圧変動を補償するための広帯域空洞と補償システムが、実現可能であることを実証できた。これらの成果はKEKと海外の研究機関であるSOLEIL, ESRFとのコラボレーションミーティングにて報告し、高い関心を集めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、申請者が提案した補償用広帯域空洞が次世代リング型放射光源における過渡的電圧変動を補償可能であることの実証が達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた結果を国際会議や国内学会/研究会にて報告し、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により参加を予定していた国際学会がオンライン開催となり、費用が発生しなかったため。 また令和3年度に補償空洞 低電力モデルの一部を別予算で購入できたため、その繰越し金が余剰として残っている。 令和5年度に参加を予定している国際学会の旅費と参加費が高騰しているため、その補填に使用する。
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