2022 Fiscal Year Research-status Report
3次元空間における数量知覚に関する脳の視覚認知機構の解明
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21K18027
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
相田 紗織 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (80746983)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 両眼立体視 / 数量知覚 / 奥行き知覚 / 3次元知覚 / numerosity / 奥行き / 数量認知 / 立体透明視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3次元数量過大推定現象の起こる構成要素数を測定した。刺激の構成要素数が少ない場合の、2次元刺激と3次元刺激の弁別実験を行った。この結果、刺激の構成要素数が少ない場合も、3次元数量過大推定現象は観察された。従来の2次元刺激の数研究において、構成要素数が少ない場合はウェーバーの法則に従う数処理メカニズムで行われ、より構成要素数が多い場合は、肌理密度処理メカニズムで行われることが報告されている。この実験の結果はウェーバーの法則に従った。 また、前年度の実験では比較刺激が2次元刺激のみを使用したので、本年度の実験では比較刺激を3次元刺激に変更し実験を行った。実験では、2次元刺激に対する数順応あるいは密度順応の効果が、3次元刺激の数量判断あるいは密度判断に影響するか、逆に、3次元刺激の数順応あるいは密度順応の効果が、2次元刺激の数量判断あるいは密度判断に影響するかを検討した。本実験では従来の研究と同様の方法で、2次元刺激と3次元刺激の順応効果を測定した。その結果、2次元刺激の順応効果は3次元刺激の要素の多い少ないに関わらず、数あるいは密度判断に影響を与え、3次元刺激の順応効果は条件によって影響を与えることがわかった。これらの結果は、2次元刺激と3次元刺激の構成要素数(または密度)を処理するメカニズムが部分的に類似していることを示唆している。 これらの研究結果は、電子情報通信学会ヒューマン情報処理研究会、映像情報メディア学会2022年冬季大会、日本視覚学会2023年冬季大会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた心理物理学実験を行った。研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を受け、当初計画していた研究計画と、研究目的、研究予定に大きな変更はない。次年度は、2次元刺激と3次元刺激を組み合わせて実験を行う。本年度の得られた実験の結果を論文としてまとめ、投稿する。
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Causes of Carryover |
予定よりも実験の開始時期が遅くなったために、今年度中に英文校正にだせず、年度内論文投稿が間に合わなかったからである。次年度では、実験を行い、前年度と今年度得られたデータをもとに、論文を投稿する予定である。
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