2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18029
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石下 洋平 自治医科大学, 医学部, 講師 (30835632)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ASMR / 皮質脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASMR(autonomous sensory meridian response)とは、聴覚や視覚への刺激によって、頭の中が「ゾワゾワ」するような心地よさを感じる反応のことである。社会的にASMRに対する関心は高まっているが、その機序を明らかにした報告はこれまでにない。神経機能画像解析技術の発展は著しいが、その中でも皮質脳波(ECoG; electrocorticography)データは、脳皮質から直接脳波を測定することで得られる、最も時間空間分解能の高いデータである。一方で、その測定のためには電極を頭蓋内に留置する必要があり、当然健常者においてそのデータを測定することは人道的に不可能である。 難治性てんかん患者では正確なてんかん原性領域の同定を目的として、根治的焦点切除術を施行する前に頭蓋内に電極を留置し、ECoG測定を行うことがある。当院はてんかん診療拠点機関に指定されており、このような手術を比較的多く施行している。 そこで、本研究では、このような患者に協力を仰ぎ、ASMRを惹起しうる動画を視聴させながらECoGを測定し、その解析によりASMRの発生機序の解明を目指す。これまで3名の患者で測定を行い、ASMRが惹起された1名において聴覚野や感覚運動野などの広い脳領域の賦活を認めた。一方で、測定した患者全員で一様にASMRが惹起されたわけではなく、賦活された脳領域も一定ではなかった。今後さらに症例を蓄積していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新規硬膜下/深部電極留置術施行症例が少なかった。 また、当初硬膜下電極を使用しての研究を想定していたが、臨床面で深部電極へのシフトが進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
患者に謝礼金を出し、研究協力をお願いする。 深部電極留置術が普及することで、カバーされる脳表領域は減ってしまうが、深部構造の活動の解析が可能となる。(海馬、島回など) 深部構造の脳活動についても注視して解析を進めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、国内/国際学会への出席が制限された。 症例蓄積ペースが鈍かった。 本年度は電極留置も数例予定されており、測定環境の整備のために研究費を使用する。また、研究成果発表・情報収集のための学会参加も予定する。
|