2022 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクトリプログラミングによる血液由来腸前駆細胞の作製
Project/Area Number |
21K18039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 静 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (80822494)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダイレクトリプログラミング / 腸前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、iPS 細胞を介さずに直接、細胞を運命転換するダイレクトリプログラミングという技術が注目されている。申請者らは、マウス胎仔線維芽細胞やヒト臍帯静脈内皮細胞に Hnf4α、Foxa3、Gata6、Cdx2 の 4 つの遺伝子を導入することで、直接、腸前駆細胞への運命転換を誘導し、誘導腸前駆細胞(induced fetal intestine-derived progenitor cells, iFIPCs)を作製することに成功した(Miura S & Suzuki A, Cell Stem Cell, 2017)。iFIPCsは、生体由来の腸前駆細胞と同様の性質を有し、大腸炎モデルマウスに移植すると障害を受けた大腸組織を機能的に再構築できる。そのため、iFIPCsの医療応用に向けた基盤技術の確立が期待される。一方、ヒトiFIPCsは胎児由来の臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)から作製されるため、個人の遺伝的背景がなく、免疫拒絶の問題から臨床応用できない。そこで、本研究では成人の血液由来の細胞を用いてiFIPCsの作製を目的とした。自分自身の血液の細胞からiFIPCsを作製できれば、自身の遺伝的背景を有し、かつ、免疫拒絶反応のない腸前駆細胞を作製することが可能になり、創薬研究や移植に大きく貢献できる。この研究を始めるにあたり、これまでの方法で作製したiFIPCsは培養下で腸幹細胞(ISCs)へと成長することができないという問題が残されていたため、この問題の解決を試みた。そこで、新たな方法を確立し、培養を行った。その結果、作製したiFIPCsは培養下で陰窩―絨毛様構造を有するオルガノイドを形成できた。このオルガノイドはLGR5陽性の腸幹細胞や分化細胞も含んでおり、長期間維持することができた。このことから、誘導腸前駆細胞は培養下で誘導腸幹細胞へと成長できることが明らかになった。
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