2023 Fiscal Year Research-status Report
光学式汗中イオン濃度推定システムの開発-ウェアラブル化のための基礎検討-
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21K18040
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
鈴木 郁斗 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (10880768)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近赤外分光法 / 汗中イオン / 脱水症 / 試薬レスモニタ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はFTIR型分光器を用いた多成分系水溶液(Na:50~250 mg/dL,K:30~150 mg/dL)に含まれる2種のイオン濃度推定実験,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いた単一成分水溶液の濃度推定実験を実施した.実測濃度と推定濃度との相関係数は前者では0.99以上,後者では0.88以上を確認した. そこで今年度はまず,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いて多成分系水溶液中のNaおよびK濃度推定実験を実施した.多成分系水溶液は全9濃度で,塩化ナトリウムとリン酸水素二カリウムを超純水に添加し,NaおよびK濃度を調整した.濃度範囲はNaが50~250 mg/dL(100 mg/dL刻み),Kが30~150 mg/dL(100 mg/dL刻み)を組み合わせた.結果として3~8波長程度用いることで,市販イオンメータにより計測した実測濃度と光学的推定濃度の相関係数γはNaで0.9以上,Kで0.77以上と良好な推定精度を確認した. 次に,よりヒトの汗に近いサンプルとして市販の人工汗液に含まれるNaおよびKの濃度推定実験を行った.ヒトの出始めの汗のpHは酸性であることから,人工汗液は酸性(pH5.5)を用いた.人工汗液はNaを240mg/dL含んでいるため,超純水で希釈することで濃度を調整した.Kはリン酸水素二カリウムを超純水に添加することで調整した.Naでは2~10波長を用いてγ>0.95,Kでは1~10波長を用いてγ>0.98と非常に良好な推定精度を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会情勢の影響を受け,当初使用を予定した小型LEDスペクトルメータの入手が難しくなったため,ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いた計測系へ移行した.しかし多成分系水溶液や人工汗液に含まれるイオン濃度推定は順調に進行しており,上記の評価をした.
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲン光源とファブリペロー型の超小型分光器を用いて,アルカリ性および中性の人工汗液を対象とした濃度推定実験を実施し,それぞれの液性における濃度推定精度について検討する.また,これまでにデータを取得した酸性も合わせた3液性サンプルの解析により,pHが推定精度に及ぼす影響について検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により2022年度までの研究発表およびその旅費が繰り越されているため.また,使用予定であったLEDスペクトルメーターが入手不可能となり,研究計画を変更したため. 次年度使用額は主に研究発表およびその旅費,実験サンプルやその他消耗品の購入に充当する予定である.
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