2021 Fiscal Year Research-status Report
The analysis of the primordial follicle growth using the artificial ovary.
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21K18044
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩端 秀之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (70770923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工卵巣 / 妊孕性温存 / 卵巣組織移植 / 微小残存病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
素材にそれぞれアガロースゲルやコラーゲンなどを選択し、金属モールドへゾル溶液を滴下し卵胞を充填するための凹みを持つ人工卵巣デバイスを作成した。 マウス卵巣より注射針を用いて直接卵巣から器械的に卵胞を単離する器械的単離法を用いて卵胞単離を行い、直径150~180マイクロメートルの二次卵胞を20~25個デバイスに充填しin vitroおよびin vivoでの有用性の評価を行った。 in vitro研究ではそれぞれの素材の人工卵巣に充填した卵胞の発育を8日間観察した。評価には卵胞径および培養液中のエストラジオール(E2)値を用いた。本実験においてアガロースゲルを用いた人工卵巣デバイス上の卵胞発育と比較し、コラーゲンデバイス上の卵胞発育は卵胞径の増加および培養液中のE2値の上昇は明確であった。さらに、コラーゲンデバイスで発育した卵胞から成熟卵子を獲得することに成功したが、成熟卵子の獲得数は卵胞数に対して1%以下と低率であることが判明した。 in vivo研究においては同種マウスに二次卵胞を充填した人工卵巣を移植した(腹膜、卵巣嚢内)。卵巣嚢内に移植したマウスでは移植後数か月交配を試みるも産仔獲得には到らなかった。 しかし、腹膜移植を行った個体に関して、HE染色において移植した卵胞の生存および径の増生を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コラーゲンデバイスを用いた人工卵巣機能の有用性が示唆することができた。しかし、既報では二次卵胞を用いた人工卵巣による産仔の獲得は実現しているにもかかわらず本実験では産児獲得に到っていない。今後もin vivo研究においてまず、二次卵胞を用いた免疫組織学的染色によるアポトーシスの有無の確認やホルモン動態の確認などを検討していく必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
単離した卵胞の生体内外での発育や生存を確認することができたが成熟卵子の獲得効率は依然低率である。よって二次卵胞を用いて、より多くの卵胞を充填できるような人工卵巣デバイスへの改良を行う必要があると考えられる。改めて作成した人工卵巣デバイスを用いてマウスへの移植を行う。移植から数週間後に採取した卵胞は切片を作成しHE染色、さらにはGDF9またはBMP15を用いた免疫組織学的染色やTUNEL法を用いて、卵胞発育の証明および卵胞へのダメージ評価を行う。さらにCD31やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)を用いた免疫組織学的染色による血管新生の有無を確認する。また、卵胞の発育が認められれば、卵胞を採取し、卵胞単離による卵子への影響を調査するために獲得した成熟卵子の受精率、胚盤胞到達率を検証する。産仔獲得に向けて人工卵巣移植マウスの交配を行い、産仔獲得率、流産率、外表奇形の有無を検証する。 上記の結果を踏まえ単離された原始卵胞中心の卵胞群人工卵巣へ充填し、同様の研究を行う。原始卵胞を充填した人工卵巣が機能すれば、月経が持続する期間などについても評価を行う。 さらに研究が進めばVEGFなどを含むゲルやシートで卵胞を植え付けた人工卵巣を覆い、それを移植することによって月経が発現するまでの期間や月経が持続する期間などについてゲルを使用しない群をそれぞれ比較・検証する。 上記研究について論文作成についても準備を行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ診療にeffortが割かれたため、また物品の入荷が大幅に遅れたため計画通りに研究を進めることができなかったため。 今後の使用計画としては、マウス購入、免疫染色に要する一次抗体の購入(GDF-9、BMP-15、CD31、VEGFなど)TUNEL法のキット、E2値測定キット、VEGFなどを含むゲルやシートの購入に使用していく予定である。 論文作成に関わる費用にも使用を予定する。
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Research Products
(4 results)