2022 Fiscal Year Research-status Report
最先端宇宙観測技術による放射性薬剤の生体内可視化に向けた高感度撮像システムの開発
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21K18049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桂川 美穂 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (70845271)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テルル化カドミウム半導体素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宇宙観測用のテルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器を核医学の分子イメージングへ応用し、生体内にある放射性プローブからのX線・ガンマ線を可視化する高感度カメラのための素子開発や解析手法の確立を目的としている。 本年度は、これまで開発してきた0.75mmよりも厚い、2mmのCdTe半導体素子を用いた装置を開発し、ファントムと非密封線源を用いてエネルギー分解能や空間分解能、検出感度を調べるの性能評価試験を行った。2mm厚のCdTe素子は0.75mm厚の素子と比べて検出効率が80keVのX線に対しては約1.3倍、150keVのX線に対しては約2倍高く、核医学の分子イメージングで一般的に用いられるTc-99m(~140keV)など高いエネルギーを放出する核種の撮像をより短時間で行うことが可能となった。また、本研究で使用するCdTe半導体検出器は光子の入射位置やエネルギーの再構成に両面の電極からの情報を使用しているが、2mm厚CdTe検出器では両面からの信号が複雑化した。それを考慮してエネルギー分解能や感度を向上させるため、光子情報の再構成アルゴリズムの改良を行った。さらに、前年度の研究で傾斜付きコリメータが有効であることがわかったため、本研究ではモジュール化したCdTe検出器とテーパー型の平行コリメータを組み合わせ、2つ並べて検出面積64x32mmのカメラとした。検出器を並べたことで検出器ギャップが生じたが、コリメータをテーパー型にすることで視野を欠けることなく確保することができた。視野が重なり合った部分を補正するための解析アルゴリズムも開発し、複数素子からの画像を一体に処理できるようになった。これによって、検出面積の更なる拡大が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2mm厚のCdTe半導体素子を用いた検出器の性能評価試験を実施し、2mm厚CdTe検出器に対応した解析アルゴリズムを開発することができた。前年度の知見をもとにコリメータの最適化を行い、視野や感度を向上させることができただけでなく、更なる拡大も可能であるとがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
小動物を用いて開発した装置の実証実験を進めるとともに、解析アルゴリズムの改良によってエネルギー分解能の更なる向上を図る。また、初年度に行ったフィッティング手法に取り入れるための2mm厚CdTe検出器のレスポンスの作成を進め、実証実験で得られたデータへスペクトルフィッティングによる定量解析を応用することを目指す。
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Causes of Carryover |
半導体不足に伴う製造遅延で実験計画を一部変更したため、当初予定していた装置開発の費用を翌年に繰り越す。当該助成金は、素子やハウジング、実験に必要な試薬の購入費用に充てる。
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Research Products
(7 results)