2023 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍の組織・解剖学的所見、及びDNA量を相関解析するための新統合システムの確立
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21K18052
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤井 雄 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (50816014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情報統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍手術において組織学的情報は重要である。病理医による術中病理診断はスタンダードだが、少量の検体を肉眼による短時間で診断することは容易でない。 術中フローサイトメトリーは短時間で腫瘍の悪性度を推測することが可能だが、実際の病理組織診断とどれほど相関するかは不明である。また悪性腫瘍には組織学的不均一性が存在し、採取部位によっては悪性度を過大または過小評価する恐れがある。 本研究では画像情報、病理組織情報や神経モニタリングなどの機能情報を融合表示した異種情報統合ミドルウェアを用い、検体の組織画像と術中フローサイトメトリーとの相関を検証する。また検体採取時の術野画像およびナビゲーション画像などを同時に確認することで、腫瘍の組織学的情報と解剖学的情報の相関を検証し、統合化を図ることを目的とする。 令和5年度は、令和4年度にひきつづき信州大学医学部医倫理委員会の承認を得た上で、異種情報統合ナビゲーションOPeLiNK(オペリンク)を実装した新型手術室スマート治療室(SCOT)にて脳腫瘍手術を行った。これまでと同様に術中フローサイトメトリーを行い、これにより推測された悪性度は病理組織診断との相関を示す傾向にあった。 病理画像表示用プロバイダの開発については株式会社OPExPARKに委託しているが進捗が遅れている。また病理画像表示のため臨床検査部へ新規回線敷設が必要となるが、こちらも回線敷設の進捗が遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病理画像表示用プロバイダの開発、臨床検査部への回線敷設が予定よりも進捗がやや遅れている。しかしOPeLiNKを用いた脳腫瘍手術症例と術中フローサイトメトリーのデータは蓄積し推測通りの結果が出ており、着実に研究が進められている。また脳腫瘍手術におけるOPeLiNKの有用性については本年度も国内学会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
病理画像表示用プロバイダの開発およびOPeLiNKへの表示機能搭載、臨床検査部への回線敷設を完遂し、臨床症例で使用する。接続され重畳された病理組織像を含むOPeLiNKを使用して術中フローサイトメトリーの悪性度と術中および最終病理組織診断の相違を検証する。また画像的特徴と組織情報をリンクすることが可能となり、組織学的情報と解剖学的情報の関連性を検証する。得られたデータを解析し研究成果の学会発表および論文作成に繋げる。
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Causes of Carryover |
病理画像表示用プロバイダの開発および臨床検査部への回線敷設の進捗が遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額はこれまでの請求額と合わせて、上記および学会発表に使用する計画である。
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