2022 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復するペプチド型ダブルネットワークの逐次形成と細胞足場としての展開
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21K18063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 昇平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員 (50897981)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 自己組織化ペプチド / ポリエチレングリコール / 組織再生足場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、生体適合性に優れたダブルネットワークゲルの作成を目的とする。本年度は、作成したダブルネットワークゲルへの生体適合性と細胞接着性を確認した。本材料は、FDA に承認済みの材料であるポリエチレングリコール(PEG) と自己組織化ペプチド(RADA16) を組み合わせた、FDAにも承認済みの完全合成材料からなり、材料の観点からは生体適合性に優れる。この材料に線維芽細胞を播種すると、1日培養後に細胞接着が確認され、その数は、培養日数に伴い増加した。これは、自己組織化ペプチド自体が、細胞接着性を有するためである。このことから、作成した材料の生体適合性が高いことが伺える。以上のように、PEG とペプチドからなるダブルネットワークゲルは、生体適合性に優れ、人工材料では困難だった細胞接着性の付与も達成した。 通常、ダブルネットワークゲルの作成には、動物性由来材料、またはアクリルアミド系の高分子を用いて作成する。しかしながらこれらの材料は、細胞毒性の原因となるシグナルを伝播したり、再現性に不向きであるために推奨されていない。本研究によって、完全人工材料からなる高分子を用いた、ゲル化速度の異なる物質を組み合わせることで、ペプチド分子間の自己組織化、及びPEG 分子間の架橋反応により、毒性の懸念が少ない逐次的なネットワーク形成を達成した。結果的に形成したゲルの破壊エネルギーが、通常のPEGゲルと比較して4倍向上し、ゲル表面に播種した細胞は、良好な細胞接着性が確認されたことから、生体適合性にも優れるダブルネットワークゲルの作成に成功したことを確認した。このように、PEG とペプチドからなる生体適合性のダブルネットワークの作成は、ダブルネットワークゲルが最初に発表されて以降、初めての試みであり、今後の組織工学への貢献が期待される。
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[Presentation] ゲル化臨界濃度付近で作成した高分子ゲルの疎水化を伴う相分離現象2022
Author(s)
石川 昇平, 岩永 康秀, 畝山 多加志、Li Xiang, 北條 宏徳, 藤長 郁夫, 片島 拓弥, 齋藤 琢, 岡田 康志, 鄭 雄一,作道 直幸, 酒井 崇匡
Organizer
第44回日本バイオマテリアル学会
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