2022 Fiscal Year Research-status Report
インテグリン受容体に結合し細胞接着活性を示すDNAアプタマーの開発
Project/Area Number |
21K18067
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
濱田 圭佑 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (40833033)
|
Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 細胞接着分子 / DNAアプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インテグリン受容体に特異的かつ高親和性に結合するDNAアプタマーを取得し、その結合能評価を行うとともに、細胞接着活性を指標に、細胞接着分子として機能するものを追加選別しDNAアプタマー多糖マトリックスの構築を目指すものである。これにより、DNAアプタマーが細胞接着分子として、細胞培養基材の開発に有用であることを明らかにする。 本年度は、まず、DNAアプタマーのスクリーニングをリコンビナントインテグリンタンパク質を用いたProtein-SELEX法にて実施するべく、条件検討を行った。その結果、合計8ラウンドの選抜を行うことで、複数の候補配列を獲得することに成功した。また、それら候補配列の結合能評価として、マイクロスケール熱泳動法を用いた結合定数の算出を実施した。その結果、複数の配列が二桁nMのKd値でリコンビナントインテグリンタンパク質に結合することを明らかにした。また、血清中安定性評価を行い、優れた生体内安定性を持つ誘導体の獲得にも至った。次年度以降も他のインテグリンサブタイプに結合するDNAアプタマーの探索を継続し、複数の誘導体獲得を行う予定である。 また、本年度の成果として、得られたインテグリン結合性DNAアプタマーの配列情報に関して、特許出願を行うに至った。 次年度以降はこれらの配列を用いて、目的とするDNAアプタマー多糖マトリックスの構築を図るとともに、それらの細胞接着活性を測定することで、新たな細胞培養基材開発への応用を模索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、インテグリン受容体に強固に結合するDNAアプタマーのスクリーニングを行い、複数の候補配列の獲得に成功するとともに、それら配列の特許申請に至った。さらに、その詳細な結合能評価ならびに生体内安定性評価も実施し、続く多糖マトリックスとの複合体合成に向けた準備が整った。以上より、おおむね順調に進展しているものと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度に獲得したDNAアプタマーについて、その構造活性相関研究を展開し、最小活性配列を探索するとともに、さらなる高活性化・生体内安定性の向上を図る。また、獲得に成功したインテグリン結合性DNAアプタマーが、優れた細胞接着活性を有するか否かを確認する。具体的には、HDF細胞を用いた細胞接着活性評価および、免疫染色を実施することで、適切にインテグリンを介して細胞接着が誘導されたことを確認する。また、有意な活性を有するものについては高分子多糖との複合体形成を行い、高分子多糖上でも同様に優れた細胞接着活性を示すことを確認する。以上の研究を推進することにより、本研究の目的とする核酸ー高分子多糖複合体による細胞接着基材の開発を目指す。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額として5,961円を計上している。これは、昨年度末に購入することを計画していた試薬の発送遅れにより、昨年度内の納入が難しい状況となり、発注をキャンセル、次年度購入へと変更したために発生したものである。本年度予算に次年度使用額とを併せ、主に研究物品試薬購入費用として適切に使用させていただく予定である。
|