2021 Fiscal Year Research-status Report
予防医学の発展に向けた深層生成モデルによる人体の経年変化予測
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21K18073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 寿一 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10780067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルツイン / 老化予測 / 医用画像 / 機械学習 / フローベース深層生成モデル / カリキュラム学習 / 経年変化予測 / 深層ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は同一モダリティで撮像された健康な人体の経年変化を予測(=老化予測)することを目的とする。このため、与えられた画像が生起する確率分布をモデル化し、偽物だが現実的な画像を大量に生成できる深層生成モデルを採用する。当初採用を予定していた2つの確率分布とそれら確率分布間の変換規則を学習できる3次元フローベース深層生成モデルDUAL-GLOWはGPUメモリ使用量と学習効率の観点から医用画像の解像度を大きく低減して入力する必要があること、および本提案採択後の早い段階で強力な類似研究が現れたことから、別の生成モデルを採用する必要が生じた。そこで本研究ではDUAL-GLOWと比較してGPUメモリ使用量が少なく、かつ学習が進みやすいと考えられる、研究代表者がOpenAIのGLOWを基に開発した3次元フローベース深層生成モデル3D-GLOWを採用した。しかしながら、3D-GLOWで高解像度(ここでは128x128x128以上)の頭部CT画像を学習する場合に数値的な不安定性が生じることが判明したので、計算の安定化手法を考案した。具体的には、低い諧調(例えば1ビット)の画像から高い諧調(例えば8ビット)の画像へと徐々に画像の情報量を増大させながら学習を進行させるプログレッシブ学習(カリキュラム学習の一種)を提案し、実際に高解像度な頭部CT画像の学習に成功した。さらに、頭部CT画像で学習された3D-GLOWの潜在空間へと現実の頭部CT画像を写像し、その潜在空間で新旧2枚の頭部CT画像を変換し、老化予測を実施するネットワークを実装することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の3次元フローベース深層生成モデルでは学習が難しかった、解像度128x128x128程度の体積画像の学習を可能にするプログレッシブ学習を確立でき、対応するプレプリントを一般公開したこと、さらに、予測精度の定量化は未実施だが、現在の頭部CT画像を基に未来の頭部CT画像をフル3次元の深層ニューラルネットワークで予測し返すソフトウェアを世界で初めて実装できたことなどから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は頭部CT画像を変換し老化予測を実現する深層ニューラルネットワークを改良しつつ、頭部CT画像についての老化予測精度を脳室容積などの指標を基に定量化する予定である。脳室容積などの定量化は医師らとの協調作業により実施する予定である。これまでは頭部CT画像を扱ったが、これからは胸部CT画像も扱い、競合研究とは異なる研究を展開していく予定である。これらの過程で得られた成果は論文としてまとめ、権威ある国際ジャーナルに投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
権威ある国際学術雑誌に原著論文が直ぐに採択される可能性を考慮した計画であったが、その可能性はなくなり、次年度使用額が生じた。当該助成金は翌年度分として請求した助成金と合わせて主に論文投稿料等に使用する予定である。
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