2021 Fiscal Year Research-status Report
体腔液細胞診におけるAI診断の開発-細胞像変化への対応と標本作製技術の検討-
Project/Area Number |
21K18077
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 勝秀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80568254)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 体腔液細胞診 / AI / Deep Learning / Liquid-based cytology |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞診は人の目により細胞像を観察し、良性・悪性の判断および診断を行っている検査である。細胞像は標本作製方法や処理溶液により異なり、人はその違いを見分ける能力を有しているが、人工知能(AI)解析への影響は明らかではない。細胞診におけるAI診断の研究は子宮頸部領域においては盛んに行われているが、体腔液領域の研究は少ない。本研究は体腔液領域におけるAI診断の開発を目的としており、細胞像変化への注意を払いながら研究を遂行し、標本作製技術がAI解析におよぼす影響を解析したうえで進めていくものである。 本年度はDeep Learningを実行するPC環境、および細胞検出に適したシステムの構築、条件設定を行った。検出に用いる細胞株を選定し、オートスメア法およびLBC法にて細胞標本の作製を行った。また、同一条件において5種類の溶液で標本作製し細胞画像の作成、アノテーション操作による教師データの作成を行い、Deep Learningによる学習モデルの作成を行った。なお、高精度学習モデル作成するためにDeep Learningの条件も検証している。 各々の学習モデルの再現率および適合率を統計学的に解析した結果、標本作製方法はAI解析に、有意な影響を与えることが判明した(p < 0.01)。AI解析に適する標本作製条件を設定することはできないが、細胞形態像が解析結果に大きな影響を与えている。多彩な細胞像且つ十分量を学習モデル作成に使用した場合、高精度モデルが作成できると考えている。一般的にLBC法では均一な細胞形態を示す傾向にあり、結果もそれを反映するデータであった。5種の処理溶液の違いにおいては、学習と検出に用いる処理溶液が異なる場合、有意に再現率低下を示した。いずれの処理溶液でも高い検出精度を得るためには、より多くの細胞形態と十分量の細胞量を学習させる必要があることを導いている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた検討を実施し、結果が得られている。現時点で明らかとなっている細胞標本作製法および処理溶液がAI解析におよぼす影響を研究成果・論文としてまとめている。 前年度に得られた知見を加味し、複数種類の細胞検出を行う学習モデルを作成している。同時にSurePath法とThinPrep法の2種のLBC法での検討も遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
臨床検体への応用を導くために、細胞株を使用した複数種類の細胞同定が行える学習モデルの作成を進めていく。Deep Learningの条件(細胞数、batch数、epoch数、画素数、撮影条件)を検証し、学習モデルのデータ解析を進めていく。引き続き高精度学習モデルを作成するために、システムを構築していく予定である。
|