2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加来 啓三 九州大学, 大学病院, 助教 (80848028)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵移植 / 1型糖尿病 / マージナルドナー / 予後予測 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病の根治治療として脳死下膵移植があるが、現状脳死ドナーが少なく待機期間も長期である。待機中の死亡率も高率であることから、いわゆる標準的ドナー条件を満たさないマージナルドナーからの移植が積極的に行われているが、マージナルドナーの安全性に関する客観的指標がない。本研究では、現状各施設基準に委ねられているマージナルドナー基準を統一し、客観的かつ簡便に移植後のグラフト機能予測を可能とするツールの開発を目的とした研究である。 本研究では様々なドナー因子の中から、膵移植後の予後に関与するドナー因子の同定を試みる。単一因子での予後予測は困難と想定されることから、複数の予後因子を基に移植後グラフト機能予後を推定するモデルを作成する。モデル作成にあたっては、機械学習を取り入れて行う予定である。 昨年度は2つの国内全国学会において本研究に関するテーマに関し報告を行った。第57回日本移植学会では予後因子候補の一つである手術因子についてシンポジウムでの報告を行った。また、本邦膵移植データ438例を対象として、統計学的解析に加え、本研究の中心となる機械学習を用いて、死亡廃絶を含む1年以内の膵グラフト廃絶に関わる予後因子を解析した。解析にはニューラルネットワークと勾配ブースティング木を利用した予測ソフトウェアを活用した。複数の予後因子候補を同定でき、これらの因子を組み入れ交差検証でAUC 0.65となる予測モデル作成まで完了した。この結果を第49回日本膵・膵島移植学会で報告した。本年度はさらに2つの国内全国学会で本研究に付随するテーマについて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予後因子検討のための先行研究として第57回日本移植学会シンポジウムで「脳死膵臓移植において手術因子が治療成績に与える影響」を報告した。本邦膵移植データ438例を対象として、死亡廃絶を含む1年以内の膵グラフト廃絶に関わる予後因子を機械学習を用いて解析した結果を第49回日本膵・膵島移植研究会で「AIを用いた本邦膵移植データの解析 予後因子の抽出と予後予測」として報告し研究奨励賞を受賞した。一定の評価を得るとともにモデルの精度ならびにアウトカムの設定に関し課題も浮かび上がった。本年度は、予後因子の候補であるドナー、レシピエントのサイズミスマッチに関して主に検証した。本研究の最終的な目標であるグラフト予後予測ツールに組み入れる候補因子と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、予後予測モデルは中程度の予測能を示すことができたが、さらなる予測精度の向上が求められる。今後の症例数の増加は精度上昇に寄与すると考えている。また、予測対象範囲をグラフト血栓症やグラフト十二指腸穿孔などさらに細分化したものとし、精度の向上とともに応用性を持たせることを検討している。予測ツールに組み入れる個別の予後因子の検証も併せて行うことで、最終的な予後予測ツールの精度向上を目指す。
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Causes of Carryover |
データ集積、解析に一定の予算を当初予定していたが、研究後半にあたるモデル完成後の予測ツールを作成する段階においてより多くの予算が必要となることが判明したこと、本年度はツールに組み入れるための既存のデータ解析が主な研究となったため、本年度の予算使用は事前申告額よりも少ない額となった。
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Research Products
(3 results)