2022 Fiscal Year Research-status Report
心嚢穿刺手技における針のたわみ抑制を狙った制御方策の確立
Project/Area Number |
21K18087
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
福嶋 勇太 帝京大学, 理工学部, 助教 (50754751)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 針 / 穿刺 / ロボット / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.穿刺試験機の設計・製作 針に加わる力の計測を行うため、門型の機構を用いた6自由度の穿刺試験機の設計・制作を実施した。X軸テーブルにはYaw、Pitch、Rollのモータを配置し、その先端には6軸力覚センサを設置することで針の根本に加わる力やモーメントを計測する設計とした。X・Y・Z軸の動作確認は完了し、磁気式位置計測装置と6軸力覚センサを用いて、単一方向の穿刺における、針の根元、針先の位置、針の根本に加わる各軸の力、モーメントの計測を可能とした。 2.LSTMを用いた単一組織押下時における針たわみベクトル推定 ゼラチンで製作した単一組織に対し、手動による定周期での押下中に、1軸方向に定速で穿刺を実施。その際の針先、針の根本の位置、および針の根本に加わる各軸の力とモーメントから、機械学習アルゴリズムの1種であるLSTMにより針先のたわみ量(針たわみベクトル)を推定可能か、およびその推定精度について検証を行った。穿刺は押下位置に対して高さを3種類、横方向を5種類、合計15箇所に実施し、それらを学習データとして使用した。その他高さを変化させてランダムで3箇所穿刺しテストデータとした。評価には平均平方根二乗誤差(RMSE:Root Mean Squared Error)を用いた。LSTMのハイパーパラメータはKeras Tunerを用いて調整を行った。押下位置は固定とし、押下は手動で実施した。3箇所のテストデータによる推定の結果、RMSEは0.29±0.02となった。手動での押下であったが、ある程度の精度が得られている。一方で、X・Y軸方向の力はZ軸の力に対して微小であることや、押下によって針先の軌道が大きく変化した際や、押下位置から遠い位置の穿刺データでは推定精度に多少の変化が見られることから、今後はどのような条件によって推定精度が変わるのか明らかにする必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今の半導体不足の影響により実験機材(Yaw、Pitch、Rollモータ)の納期遅れの影響に伴い、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の結果から、単一組織押下時においてLSTMを用いて針たわみベクトルの推定が可能であることが示唆された。一方で針の根元に加わる力の内、左右方向(X・Y軸方向)の力は進行方向(Z軸)の力に対して微小であることや、組織押下位置から遠い位置を刺した時のデータでは推定精度に多少の変化が見られることから、まず単一組織を用いて、針たわみベクトルを推定するために必要なAIへの入力情報を明らかにすることで、針たわみベクトルの推定精度の向上、および計算負荷の低減を図る。次に押下力の大きさ、穿刺対象の弾性力、刺入角度等、推定精度の変化が生じうる穿刺条件の検討を行うことで、現モデルの問題点と改善方法を提案する。次に推定された針のたわみ量から、たわみ量を減少させるためのロボットアームの手先位置を推定するモデルを構築し、得られたモデルを用いて、針たわみベクトル制御を実施し、穿刺精度の評価を行い、単一組織下における提案手法の有効性や限界を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度に穿刺評価試験機の部品(Yaw、Pitch、Rollモータ)を発注したが納品が年度内に納品にならなかったために未使用額が発生することとなった。既に発注済みであるため、納品がされ次第、評価試験機を製作する。一方で当該部品が無い状態でも検証可能な部分が多々あるため、納品までの間に当該項目を実施する。
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