2022 Fiscal Year Research-status Report
金属有機構造体を用いたバイオマーカー検出システムの基盤構築
Project/Area Number |
21K18092
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
月精 智子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部バイオ技術グループ, 主任研究員 (80520220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属有機構造体 / バイオセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
金属有機構造体(MOF)は、金属イオンと有機リガンドが配位結合を介してネットワーク構造を形成する多孔質材料であり、ガス吸着特性などで近年注目されている。また、MOFは酵素の担持材料としても注目され、酵素を内包させることにより、酵素の安定性や耐久性が向上することが報告されている。さらに、均一な細孔を有するMOFは、分子ふるいとしても有用であることが報告されている。本研究では、生体内代謝において重要なバイオマーカーである尿酸をターゲットとし、酵素担持MOFの基本特性を調査し、センサ材料としてのMOFの優位性を見出し、尿酸値を電気化学的に計測する簡便なセンサを開発することを目的としている。本研究は、①尿酸計測に適した酵素担持MOFの作製検討・基本特性の評価、②①で作製した酵素担持MOFを用いた尿酸センサの作製・評価、の2つのフェーズに分けて研究を実施する計画となっている。 2022年度は、①のうち、昨年度に基本特性を評価した代表的なMOFを用いた尿酸オキシターゼ(ウリカーゼ)担持MOFについて、吸着特性や蛍光標識した酵素を用いた構造評価など、より多面的な評価を実施した。また、蛍光標識した酵素担持MOFを共焦点レーザー顕微鏡にて観察することで、作製した酵素担持MOFの構造を推測することができた。酵素担持MOFの構造と吸着性能との関係性について、より詳細な分析が必要である。また、②については、スクリーン印刷電極を用いて過酸化水素に対する濃度依存性を確認し、電極の基本特性を評価した。この結果から、電極上にウリカーゼ担持MOFを固定化することで、尿酸が計測できる見通しが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画における、①尿酸計測に適した酵素担持MOFの作製検討・基本特性の評価、②①で作製した酵素担持MOFを用いた尿酸センサの作製・評価、について、おおよそ想定どおりの結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①尿酸計測に適した酵素担持MOFの作製検討・基本特性の評価、については、作製したウリカーゼ担持MOFについて引続き多面的な評価を継続する。また、②①で作製した酵素担持MOFを用いた尿酸センサの作製・評価、については、電極表面への酵素担持MOFを固定化する方法の1つとして、交互浸漬法を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度に購入していた試薬等を代用して実験を遂行したため、予定していた物品費が抑えられた。次年度は、酵素担持MOFの基本特性評価に使用する試薬、尿酸センサを作製するための電極、酵素担持MOFの固定化方法の検討に使用するQCM-Dのセンサなど、物品費を中心に使用する予定である。また、研究成果発表および情報収集のため、国内学会への参加を予定している。
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