2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a simpler pain clinical research platform based on neurological mechanisms
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21K18100
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山田 恵子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10821506)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 臨床研究 / 脳波 / 生態学的瞬間評価 / 自記式質問票 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は本研究の目的である、従来の主観的疼痛評価のみでは捉えきれなかった疼痛患者の脳神経学的病態を明らかにするための簡便な疼痛臨床研究用プラットフォームの開発を下記の段階まで進めた。 (1)質問票による簡便な多面的評価システムの構築:研究代表者自身が日本語版翻訳済みの簡便尺度の計量心理学的妥当性を検証するための研究について、「Pain Disability Index(疼痛生活障害指標)」は論文がアクセプトされ、「簡易版不公平感質問票」は論文執筆中、「短縮版症状の破局的思考尺度」についてはインターネット調査を追加実施した。「PROMIS鎮痛薬不適正使用尺度短縮版」については、米国ノースウェスタン大学と連携しながら日本語翻訳を進めている。また、スマートフォンやタブレット端末による入力が高齢者を含めて普及してきていることから、紙媒体を使用してOCRを使用したシステムは開発を中止し、電子端末を使用した入力に一本化することにした。 (2)疼痛患者の理学的身体評価データベースの構築:研究協力者の西上らと共に乳がん術後遷延痛患者のデータを使用して、慢性術後遷延痛有症者を対象とした握力に関する基礎データを得るための分析を引き続き実施中である。 (3)疼痛の生態学的瞬間評価(EMA)の構築(4)疼痛の脳波バイオマーカーの構築:EMAの実施に必要なシート型脳波計、ウェアラブル活動量計、スマートフォン上の質問票回答アプリの運用準備を進めた。中等度以上の月経随伴症(月経前症候群・月経痛)患者の脳波データ収集が遅れているため、代替案としてドイツのDr. Plonerらが公開している慢性疼痛患者の脳波データを使用し、研究協力者の石井らの協力でeLORETAを使用した解析を実施中である。また、ウェアラブル活動量計を使用した慢性疼痛患者の睡眠の計測をトライアル実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延が長引いていた影響で、臨床研究の患者リクルートが遅れたことで研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究対象者リクルートを伴う実際の臨床研究を実施し、簡便な疼痛臨床研究用プラットフォームの開発をさらに進める。その上で、より複数施設における疼痛研究の実施体制を推進する。具体的な計画は以下の通り。 (1)質問票による簡便な多面的評価システム(CAT版)の構築:簡便な疼痛関連尺度の計量心理学的な妥当性検証について、引き続き論文掲載へと進める。スマートフォン上で質問票を回答するアプリを実際の臨床研究で運用する。CAT版質問票の開発を開始する。 (2)疼痛患者の理学的身体評価データベースの構築:既存の乳がん術後遷延痛患者データを使用した握力に関する基礎データについて論文を投稿し、成果を公表する。乳がん術後遷延痛患者データで得られた知見を元に、他の疼痛疾患へ応用を開始する。 (3)疼痛の生態学的瞬間評価(EMA)の構築:EMAを構成する患者評価ツール(簡便な疼痛関連尺度の入力システム、ウェアラブル活動量系)の準備を整え、臨床研究としてEMAを実施する。 (4)疼痛の脳波バイオマーカーの構築:先行実施中のドイツの慢性疼痛患者公開脳波データを使用した研究を進める。中等度以上の月経随伴症(月経前症候群・月経痛)患者を対象とした脳波測定研究を実施し、成果を得る。さらに、これらの脳波検査の実施ノウハウや得られた知見を他の疼痛疾患に適用するために、脳波計を使用した疼痛臨床研究の実施手順の標準化を検討する。
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Causes of Carryover |
脳波データを取得する臨床研究の開始が遅れたため、研究対象者に渡すための謝金や、脳波計の取得の必要時期が次年度にずれこんだ。
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