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2021 Fiscal Year Research-status Report

アニメの声が喚起する「情動」を手がかりに声の文化的制度化を分野横断で捉える試み

Research Project

Project/Area Number 21K18116
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

太田 一郎  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (60203783)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 宇都木 昭  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60548999)
太田 純貴  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90757957)
菅野 康太  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80722470)
Project Period (FY) 2021-07-09 – 2025-03-31
Keywords社会音声学 / アニメの声 / 声と情動 / メディア文化研究 / 言語文化研究
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,「声」のことばの型が成立(レジスター化)する様相を,アニメの声質の音響的な特性とその声が喚起する「カワイイ」等の情動との関係を手がかりに,日本およびその他地域・文化等で調査する。その結果を,社会言語学,音声学,現代思想,メディア論,生物言語学の観点から分野横断的・融合的に考察し,ことばの文化的制度化が言語の普遍性と社会・文化の個別性の相互作用によって生じる様相を捉え,言語文化研究の新たな方向性を示すことを試みる。本年度は以下のような実績を上げた。
(1) 声優コース大学生(女性)の音声データを分析し,アニメの4タイプの女性キャラクター(かわいい,女性勇者,大人の女性,ボーイッシュ)の母音「あ」の声質の音響的特徴を探った。①フォルマント:F1,F2周波数は,「かわいい」 は高い周波数領域に,「勇者」 は低い周波数領域に,「大人」と「ボーイッシュ」は中間に位置するなど,フォルマント周波数がキャラクターの違いに関連すること,またF1~F3の強度は,「かわいい」だけが顕著に強く,声質の目立ちに寄与している可能性が高いことがわかった。②スペクトル傾斜:統計分析の結果,息漏れ性に関連する特徴(H1-H2, H1-A3など)については,「かわいい」は負の相関を示すこと,またエネルギーに関する特徴(alpha ratio, Hammarberg indexなど)を見ると,「かわいい」が高周波数帯域のエネルギーが強いことから共鳴性の強い声であることが示唆された。③基本周波数(F0):「かわいい」は一般の認識どおりに顕著に高い平均値を示した。これらのことから,「カワイイ」声には音響的に見て一定の型があるのではないかと考えられる。
(2) 現代日本文化におけるアニメの声の社会的意味と音響的特徴の関連性を捉える枠組みについての提案を,EAJSなどの学会において発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本年度は,研究の第1段階として,①アニメの声質の特徴を捉えるために,音声による感情認識と関連のある音響パラメータ(周波数,エネルギー,スペクトル傾斜等の特徴)を計測するための分析を行うこと,②一般人女性の声を収録して比較し,アニメの声質の一般的な音響的特性を明らかにすること,③アニメの受容状況やファンの活動等について,海外のアニメ関連イベント等での観察やインタビュー等の調査を行うことを予定していた。①に関してはおおよそ予定していたような進捗状況まで達した。しかしながら,コロナ禍の影響は予想した以上に大きく,②については対面での調査が困難であったこと,③については海外への渡航が著しく制限され調査を行うことができなかったことなどから,(4)という評価にした。

Strategy for Future Research Activity

これまで行えなかった調査を実施して遅れを取り戻し,研究の第2段階に向けた準備を進める。①今年度行った声質の分析をさらに進めて情動との関連を追求する,②一般人女性の声のデータを収集し,声優コース学生の声と比較する準備をする,③1970~90年代ごろの古いアニメと近年のアニメの声質に変化が見られるかどうかを検討する,④オリジナルの日本アニメと海外の吹き替えの比較を行う準備を進める,⑤声優による新たな音声資料の収集を計画する,⑥声と触感性などの文化的概念の関連の検討を進める,⑦アニメの受容状況やファンの活動等について,アニメ関連のイベント等での観察やインタビュー等の調査を行う,⑧これらの点を整理して,第2段階の調査の準備を行う。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じたのは,国内,海外ともにコロナ禍により移動が制限されたために,資料収集や現地調査などが実施できなかったこと,また当初予定していた国内外での学会の参加もコロナ禍でオンライン開催となったため,その分の旅費を支出しなかったことなどによる。令和4年度はコロナ禍でも社会活動の制限が緩和されると見込まれるので,国内および海外での調査や発表等の研究活動を行うことに使用する予定である。また,新たな声優の音声資料の収録を計画しており,その整理などのための人件費,さらに結果を英語で公表するための英文校閲費などにも使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022 2021

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Presentation] 女性声優による役柄の異なる音声のイントネーション―おそ下がりに注目して―2022

    • Author(s)
      菅原貴介,宇都木昭,太田一郎
    • Organizer
      言語学フェス2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] The Voice Quality as a Sociocultural Register2021

    • Author(s)
      Ichiro Ota, Akira Utsugi, Yoshitaka Ota
    • Organizer
      16th International Conference of the European Association for Japanese Studies
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28  

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