2023 Fiscal Year Research-status Report
Museum Anthropological Approach to Develop a Source Community Friendly Public Transmission Model on Digital Image of the "Copyrighted" Ethnographic Collection
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21K18123
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
伊藤 敦規 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 准教授 (50610317)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2027-03-31
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Keywords | ソースコミュニティ / デジタルアーカイブ / 文化人類学 / 先住民 / 協働 / 民族誌資料 / 博物館 / 著作権 |
Outline of Annual Research Achievements |
5月・6月:米国先住民製宝飾品の世界的コレクターGregory Schaaf博士を民博に迎え、研究進捗発表し意見交換を行った。日本文化人類学会研究大会(県立広島大学)で個人発表し、特別シンポジウムに登壇した。4週間渡米し複数機関所蔵資料の熟覧をホピの銀細工師と実施した。ニューメキシコ州立大学とカリフォルニア科学アカデミーを訪問し資料調査を行った。北アリゾナ博物館主催の先住民アートショー会場で米国先住民製アート販売店経営者(日本国内)に対面調査を行い、作風から作者を推定するこつについて意見交換した。 7月・8月:トップジャーナル『Current Anthropology』誌上で意見を交わしたChip Colwell博士を民博に迎え、プロジェクトの進捗発表をした。放送大学の博物館学の講義を2本映像収録した。城西国際大学教授からアラスカ先住民と博物館資料をつなぐ新規科研費申請の相談を受け、具体的な助言を行った。 9月・10月・11月:日本文化人類学会の『文化人類学』88(2)に共著が掲載された。1950年代のアイヌ民族綜合調査当時の調査地を訪問した。北海道のウポポイでのアイヌアートショー(第2回)の運営に携わった。スミソニアン協会で資料管理責任者を長年勤めたGail Joiceを民博に迎え、プロジェクトの進捗報告と意見交換を行った。別予算で民博に招聘したホピ民族の服飾作家と資料熟覧した。 12月:日本文化人類学会英文学会誌『JRCA』に寄稿した(2024年5月頃刊行予定)。熟覧映像324本を民博展示場で一般公開した(館内イントラネット配信)。 2月・3月:日本文化人類学会『文化人類学』「特集 先住民と博物館」に寄稿し採択された(2024年6月頃刊行予定)。資料熟覧記録を一冊刊行した。北海道博物館久保寺逸彦文庫資料を実見した。北海道大学アイヌ・先住民研究センターで研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、現地の協力者の中に感染したり、死去した者がいたが、2023年度にようやく国内・国外出張が再開した。 これまでに収録したソースコミュニティの人々による「もの語り」映像記録の整理も集中的に行うことができた。一般公開には至っていないものの、2017年収録の個人コレクション資料熟覧映像約500点の和訳を済ませ、映像編集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り、4年度目となる本年度も、これまでに収録したソースコミュニティの人々による「もの語り」映像記録の整理と編集に注力する。 また、2022年度より北海道白老のウポポイ(民族共生象徴空間)より、ソースコミュニティの人々に配慮した催事開催や活動のアーカイブ化に関する依頼を受けたため、本研究課題と重なる部分については積極的に係わることとする。さらに、2022年6月に二年間の任期で指名された日本文化人類学会の倫理委員の仕事に関わることで、1950年代の文化人類学・社会学・形質人類学の大規模な国内調査(通称、アイヌ民族綜合調査)を深く探求することになり、学会とソースコミュニティの人々との関係構築ならびに研究成果の公開の理想的な進め方についてこれまでにない視点で展開することができた。この新たな研究についても、ソースコミュニティへの優しさに則った学術資料公表モデル構築という視点からのアプローチが可能なため、本研究課題と重なる部分については倫理委員の任期満了後も積極的に係わっていくこととする。
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Causes of Carryover |
映像編集役務を発注した業者の年間請負可能範囲に即して発注内容を調整したため。
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