2021 Fiscal Year Research-status Report
The Institutional Innovation in Contemporary China:
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21K18127
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
唐 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10257743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻中 豊 東海大学, 政治経済学部, 教授 (70145944)
中岡 まり 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (80364488)
毛 桂栄 明治学院大学, 法学部, 教授 (90252212)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 地方イノベーション / 政治的応答性の動機付け / 支配の正当性 / 昇進基準 / 一党支配 / 成功モデル / イノベーションの推進体制 / イノベーションの手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は政治的応答性を地方イノベーションの前提とし、政権と権力エリートの動機付け、実施体制と手法から中国の地方イノベーションの構造的な特徴を明らかにしようとするものである。2021年度の研究は中国の政治的応答性を中心に下記の研究作業を行った。 西側諸国の政党、政治エリートが政治権力を勝ち取るため、有権者、世論との対話で独自の政策を提示し、また有権者は定期的にその努力と実績を検証する。他方、現代中国の政治的応答性は両面性を持つ。国民の要求、特に民主化の要求は一党支配の維持と矛盾し、中共はあらゆる手段でそれらを排除しようとしてきた。他方、経済成長や社会発展は国民の支持を調達し、支配の正当性を高める効果がある。そのために、中共は様々な制度改革によって政治的応答性を高めようとしている。 昇進制度は中共が政治的応答性を高め、経済や社会の分野で実績を築き上げる有力な手段として活用しようとしている。鄧小平時代以降、中共はエリート選抜で従来以上に学歴、専門知識と職務経験を重視し、権力エリートは革命世代からテクノクラート型への転換を図ってきたと同時に、実績評価システムで量的指標を導入し、実績指向の昇進制度を取り入れてきた。 政策/制度のイノベーションは政治的応答性を高め、実績を築き上げていく最重要手段である。その成功モデルは上級機関と世論から評価され、政治エリートは昇進につながる場合が多い。昇進→イノベーションの模索→成功モデルの拡散→政治的応答能力の向上といった因果メカニズムがどこまで機能しているかを解明するため、地方イノベーションの代表的な事例を収集・解析し、データベースの構築方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は政治的応答性を地方イノベーションの前提とし、政権と権力エリートの動機付け、実施体制と手法から中国の地方イノベーションの構造的な特徴を明らかにしようとするものである。1年目(2021年度)の目標は分析の枠組みを検討すると同時に、資料・データを収集し、地方イノベーションのメカニズムについて初歩的な分析を行うことである。コロナ感染が原因で、現地調査や国際ワークショップの開催を実施できなかったが、ほかは予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の共同研究は2021年度の成果を不可得つつ、引き続き以下の課題を中心に先行研究への批判的研究、資料・データの収集と分析などの研究作業に取り組み、研究会や学会で中間成果について研究報告を行う。コロナ感染で現地調査の実施とデータ収集は難しくなってきているが、オンラインを活用する予定である。 1)政治体制によって支配正当性の調達方法はどこがどう違うか、権威主義体制の政治的応答性は範囲や手法に関しいかなる特徴を有するか。 2)一党支配体制の下で人事評価・運用システムはいかなる特徴を有するか、民主主義体制における党内選考基準と有権者の評価(投票)基準とはどこがどう違うか。 3)地方イノベーションの実施体制は如何なる特徴を有するか、トップダウン型政治は決定のスピードと質、実行の有効性ないし民意とのギャップにどのような影響を与えるか、NGO/NPOやマスメディアは如何なる役割を果たすか。 4イノベーションに関する地方間競争はいかに展開されるか、集権体制はイノベーションの発生と拡散にいかなる影響を与えるか、実験先行型の手法はどこまで有効であるか。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ感染のため、現地調査の実施や国際ワークショップの開催はできなかった。2022年度は現地調査の目途がいまだに立たないが、オンライン会議などを活用する予定である。
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Research Products
(7 results)