2021 Fiscal Year Research-status Report
超伝導ダイオード効果の機構解明と不揮発性超伝導ダイオード素子の創出
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21K18145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 陽一 京都大学, 理学研究科, 教授 (70332575)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究代表者らが見出した「超伝導ダイオード効果(Nature 584, 373 (2020))」の機構を解明し、不揮発性超伝導ダイオード素子を創出することである。研究代表者らは、超伝導臨界電流に対するダイオード効果を見出したが、研究代表者らの想定する超伝導ダイオード効果のシナリオが正しければ、超伝導が破壊される臨界磁場の大きさも電流方向に依存する超伝導臨界磁場の非相反効果が存在するはずである。今年度はこの超伝導臨界磁場の非相反効果を実証し論文報告をおこなった(Appl. Phys. Express 14, 073003)。さらに、超伝導臨界電流の非相反性が外部磁場の大きさに対して振動するという現象を実験的に見出し、この現象を定性的に説明する理論を構築した。研究代表者らの見出した超伝導ダイオード効果は、時間反転対称性を破るための外部磁場を必要とするが、今回、超伝導人工格子に磁性体を導入し、磁性体の磁化によって時間反転対称性を破ることで、無磁場下での超伝導ダイオード効果を実現することに成功した。これにより、無磁場下で超伝導ダイオード効果を利用できるばかりでなく、磁性体の磁化の向きによる超伝導ダイオードの極性制御が可能となった。また、磁性体の磁化の向きによる超伝導ダイオードの極性制御が可能ということは、磁性体の磁化を利用した不揮発メモリ機能を超伝導ダイオードに付加できることを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記したように、令和5年度の目標であった無磁場下での超伝導ダイオード効果の実証に成功した。さらに、超伝導臨界電流の非相反性が外部磁場の大きさに対して振動するという新規現象を見出すなど、当初計画以上の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に記したように、当初予定を超えた研究の進捗があるため、新たに得られた知見をもとに、さらに挑戦的な課題に取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
薄膜作製装置のメンテナンスの必要が生じたが、令和3年度中には実施できなかったので令和4年度にメンテナンスを行う。
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Research Products
(8 results)