2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K18150
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田井野 徹 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40359592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石徹白 晃治 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20634504)
美馬 覚 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 研究員 (50721578)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 基板 / 超伝導検出器 / KID |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の急速な宇宙観測や加速器実験により宇宙の誕生と進化の様子が解明されつつあるが未解決な最重要課題が存在している。これまでに、我々の体や地球を形作る通常の物質の約5.5倍にもなる暗黒物質が存在することが分かってきた。また宇宙初期には物質と反物質が等量存在していたはずが、今では物質だけの宇宙(物質優勢宇宙)となっている。この謎の扉を開く鍵は「極稀反応の直接測定」にある。世界中で様々な実験が行われているが未だその発見、検出には至っていない暗黒物質、2重β崩壊。極めて希で、極めて小さい反応がその発見を妨げている。本研究では、誰もが望む究極の測定=バックグランドフリーを可能とし、今までなしえなかった測定結果=暗黒物質や2重β崩壊の検出から、冒頭の究極的な問いに答えをもたらせる検出器として、3次元超伝導放射線検出器を開発することが目的である。 初年度は、読み出しを含めた冷凍機の調整、超伝導検出器として用いる力学インダクタンス検出器(KID)の開発などを行った。読み出しを含めた冷凍機の調整では、冷凍機に付属する装置の故障により1ヶ月ほど冷却試験などが行えなかったものの、検出器を遮蔽するためのシールド材を冷凍機内に設置した状態での冷却試験や本研究で用いるユニークな構造を有する超伝導検出器のためのサンプルホルダを設計し、作製したホルダを冷凍機内に設置、その冷却試験などを行い、冷凍機としての正常動作を確認した。つぎに超伝導検出器の開発では、まず暗黒物質に感度を有する検出器とするため、作製する検出器が集積される基板材料に着目し、複数種類の基板に対してKIDを作製し、その動作確認を行い、基本動作を確認した。また効率的に暗黒物質を検出できるよう、検出器の設計と電磁界シミュレーションを行い、その設計に基づき検出器の試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で提案する、ユニークな構造を有する超伝導検出器を冷却するための構造体を取り付けた状態で冷凍動作が確認できたこと、またコロナ禍にもかかわらず、超伝導検出器の設計、シミュレーション、作製を行うことが出来ており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、ユニークな構造を有する超伝導検出器の作製とその動作確認を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、出張などもなくなり、当初予定していた実験を行えなかったため。次年度は社会情勢を鑑みながら、徐々に出張などをいれ、研究を推進していきたい。
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Research Products
(3 results)