2021 Fiscal Year Research-status Report
Hunting solar axions with new pixel-type silicon detector under extremely low background environment
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21K18151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 俊博 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (50706877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (10243007)
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
小貫 良行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40415120)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | アクシオン / ダークマター / 低バックグラウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
アクシオンは、素粒子標準理論の量子色力学の「強いCP問題」(=強い相互作用において、電荷パリティの反転で対称性の破れが検出されていないこと)の解決策として提唱された未発見の素粒子である。またアクシオンは、銀河の回転速度や宇宙マイクロ波背景放射の観測から存在が確実視されている暗黒物質として十分な量が宇宙初期に生成された可能性も考えられており、アクシオンの発見は素粒子物理学のみならず、宇宙物理学や天文学においても今後の学問の方向性を大きく転換・変革するブレイクスルーとなると考えられている。本研究では、XENON1T 実験から示唆された相互作用の一つであるアクシオンと原子核の相互作用に特化して検証するため、新型ピクセル型シリコン検出器と鉄同位体(原子番号57)を使った極低バックグラウンド環境での太陽アクシオン探査を実施する。 本年度は、主に実験場所の整備とそれぞれの検出器の準備を開始した。まずは、極低バックグラウンドを実現するための恒温槽と、その内部に放射線遮蔽用の鉛を置くための吊り下げ装置を設置した。また、鉛内部に設置するためのリジッドフレキシブル基板による新型ピクセル型X線検出器の実装と動作試験を開始し、この撮像素子と鉄同位体を設置するための無酸素銅による中心部を設計した。次に、その周りを囲む三角シンチレーターを使った飛跡検出型のアクティブシールドの製作を始め、ミューオン通過時の光量を測定した。さらに、環境モニター用の装置の製作を進めており、遠隔操作による定常観測実現へ向けた準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である太陽アクシオン探査へ向けて、恒温槽および鉛遮蔽部の準備、新型シリコン型X線検出器の開発、中心部部の設計・製作、三角シンチレーターによるアクティブシールド、遠隔操作による自動観測へ向けた準備というように、各構成要素の準備が着々と進んでおり、2022年度のファーストライトへ向けておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に今後も引き続き月例会議を定期的に実施し、また2ヶ月に一度は対面による状況共有を進め、円滑な連携による迅速な研究遂行に務めていく。加えて、本研究を国内の物理学会や国際会議での発表を精力的に実施し、専門家たちの意見を幅広く収集していくつもりである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大によって引き起こされた半導体の大幅な不足の影響で、撮像素子である新型ピクセル型検出器の量産が2022年度にずれてしまった。2022年度には改善されることを期待し、新型ピクセル型検出器を4つ製作する予定である。
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