2021 Fiscal Year Research-status Report
都市下水から薬を創り出す:棄てられたヒト免疫細胞由来遺伝子を活用した抗体医薬開発
Project/Area Number |
21K18171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
久保田 健吾 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80455807)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 都市下水 / 感染症 / 免疫細胞 / ヒト抗体遺伝子 / 抗体医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都市下水から回収した抗体遺伝子を用いて抗体医薬の合成を行う手法の開発に取り組むものである。研究初年度である令和3年度においては、文献情報をもとに免疫細胞由来遺伝子を増幅するためのプライマーを設計し、都市下水から抽出した総DNAを鋳型として用いたPCRを行い、都市下水から免疫細胞由来遺伝子の増幅産物を取得することを試みた。都市下水は3000xgで30分遠心分離し、得られた沈殿物を下水濃縮サンプルとした。プライマーは複数の組み合わせを合成し、試行錯誤的に下水濃縮サンプルから抽出した総DNAに適用した。その結果、目的遺伝子と思われる増幅産物を得ることに成功した。得られた増幅産物に対して配列解析を行ったところ、ヒト免疫グロブリン由来の遺伝子配列が得られていることが確認された。この結果により、都市下水中に免疫細胞由来遺伝子が存在していることが証明され、本研究のコンセプトが成立可能であることが示された。続いて、得られた増幅産物に対して次世代シーケンシングを行うための前処理を行なった。最終的に、十分な量と純度を持つサンプルが得られたため、次世代シーケンス解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初のハードルであった都市下水中からの免疫細胞由来遺伝子配列の取得に成功したことから、本研究のコンセプトが成立可能であることが示されたことは大きな進展である。一方で、抗病原体抗体遺伝子の選抜手法の開発は遅れており、同時に進められる研究は効率的に進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンシング結果の解析により、都市下水中の免疫細胞由来遺伝子の多様性が世界で初めて評価することが可能となるが、都市下水1サンプルの解析を行っても説得力に欠けることから、複数の都市下水サンプルから得られた増幅産物に対して次世代シーケンシングを適用し、一般的にどの程度の多様性で免疫細胞由来遺伝子が都市下水中に存在しているかを明らかにする。さらに、試験管内タンパク質合成の技術を用いて、得られた免疫細胞由来遺伝子を用いたタンパク質合成に取り組む。
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