2022 Fiscal Year Research-status Report
エントロピーに基づく合金設計変革とワイドレンジ形状記憶合金の開発
Project/Area Number |
21K18179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 俊洋 東北大学, 工学研究科, 教授 (60451530)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | エントロピー / 熱力学 / 状態図 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fe-Al系、Fe-Mn-Al系、Fe-Mn-Al-Ni系合金において、極低温から約500Kにおける定圧比熱を緩和法、熱流束法により精密に測定した。様々なAl濃度を有するFe-Al、Fe-Mn-Al合金を作製し、BCC相の比熱を測定してAl濃度と比熱、さらにはデバイ温度との関係性を明らかにすることができた。また、Fe-Mn-Al-Ni系合金ではBCC相とFCCマルテンサイト相の比熱を測定した。これまでに得られているFe-Ni系、Fe-Al系、Fe-Mn-Al系、Cu-Al-Mn系、Co-Cr-Al-Si系の比熱測定結果を解析し、比熱やエントロピーに対する格子振動、電子、磁気の寄与を推定して各合金系の特徴を明らかにした。Cu-Al-Mn系は極低温域でBCC相とFCC相のエントロピー差が非常に大きく、今後、格子振動の特異性を明らかにする必要性があることが判明した。Fe系はBCC相とFCC相のエントロピー差が小さく、合金元素や磁気変態の影響が顕著に表れることがわかった。このことを利用して、形状記憶効果による発生仕事量の向上や超弾性の温度依存性低減に向けた合金設計ができる可能性が示された。 また、Fe-Al系をモデルケースとして、CALPHAD法により低温域から高温域までをカバーする熱力学モデルの検討を行った。実験で得られた比熱の結果を用いた検証を行いながら、アインシュタインモデルなどを応用したGibbsエネルギーの記述を行った。過去の状態図や熱力学パラメータの情報も利用し、Fe-Al系固溶体相を計算により再現することができた。これまで困難であった低温域も考慮した計算状態図手法に発展できる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度で確立した定圧比熱の測定方法を利用し、様々な合金系における比熱測定を実施することができた。これらの結果を解析することで各合金系の熱力学的特徴を整理することができ、さらに、今後の合金設計の方向性を見出すことができた。また、状態図計算の先進的手法にも取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
各合金系の比熱やエントロピーの特徴を理解できたことで、今後、形状記憶効果や超弾性で特徴を有する材料の開発に繋げることができる。次年度以降、マルテンサイト変態や形状記憶効果や超弾性の機能性の評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
比熱測定の手法が確立できたことで効率的に実験を行うことができ、消耗品の使用量を抑制することができた。また、翌年度は多くの合金系に取り組む予定となり、変態や機能性の調査で多くの消耗品費が必要になる計画である。
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Research Products
(3 results)