2022 Fiscal Year Annual Research Report
ゲート型吸着剤の特異な挙動に着目した吸着分離工学の革新
Project/Area Number |
21K18187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 教授
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Project Period (FY) |
2021 – 2022
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Keywords | ゲート型吸着剤 / 圧力スイング吸着 / 自己熱補償能 / 非等温吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 骨格構造に柔らかさを有するゲート型吸着剤を活用した新様式の圧力スイング吸着法(PSA)の確立を目指すものである。本研究課題で得られた代表的な成果は以下の4つである。 ①大量合成のために高濃度条件でゲート型吸着剤(ELM-11)を合成した際に, 低濃度条件で得られる既知の前駆体(pre-ELM-11)とは異なる結晶構造が得られることを見出した。詳細検討の結果, その正体がpre-ELM-11の準安定構造であること, また, 真空加熱処理で問題なく目的物質(ELM-11)へと転移することを明らかとした。 ②ゲート型吸着剤の賦形において生じる成形体の微粉化およびゲート吸着の緩慢化という問題を回避可能な新規賦形手法を確立した。これと①の成果を組み合わせることで, ゲート型吸着剤ペレットをgオーダーで合成することに成功した。 ③従来の吸着剤とは大きく異なるゲート型吸着剤の吸着等温線および吸着速度を定式化し, それを組み込んだ非等温吸着カラムモデルを開発した。また, このモデルにより, ②の成果で得られたペレットを用いた破過曲線測定結果を良好に再現できることを実証した。 ④本研究のキーアイディアである, ゲート型吸着剤を活用した2塔2段式の圧力スイング吸着(PSA)分離装置のラボスケール試験機を設計・完成させた。また③のカラムモデルを非等温PSAシミュレータへと昇華し, ゲート型吸着剤を活用したPSAの本格的な実用化検討を可能とする基盤を整えた。
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