2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜の局所ナノスーツ膜化による細胞内外ナノ観察のためのMEMS液体セル
Project/Area Number |
21K18190
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 忠 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80517607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 智広 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30401574)
宮永 一彦 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40323810)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 細胞内観察 / 電子線透過膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①細菌内部と表面のSEM観察のための電子顕微鏡の開発と②細菌表面観察技術の向上、③細菌内金属標識のための標識技術に取り組んだ。
①細菌内部と表面のSEM観察のための電子顕微鏡の開発:細菌内部と表面を同時にSEM観察するためには、二つのSEMを一つに実装する必要がある。一つは従来のSEM同様に電子線透過膜越しに細菌表面観察を行うためのSEM、もう一つは細菌自体にナノスーツ膜を形成し細菌内部観察を行うためのSEMである。そこで、従来使用しているSEMに対し、下方からのSEM観察を可能とするため、電子銃と電子レンズ、反射電子検出器を新たに実装した。これにより、下方からのSEM観察が可能となり、細菌内部と表面の同時観察が可能となる。 ②細菌表面の観察技術:従来の細菌表面のSEM観察技術は、細菌の電子線透過膜までの輸送や電子線透過膜の薄化が不十分であった。輸送技術として光ピンセットを用いた細菌輸送を行い、電子線透過膜への細菌の搬送を行った。電子線透過膜に付着すると光ピンセットで動かなくなったが、電子線透過膜に付着した大腸菌が観察できた。電子線透過膜はこれまで10 nm厚が最薄であったが、3 nm厚でも破らずに作成することができた。 ③細菌内金属標識のための標識技術:細菌内部をナノスーツ膜越しに観察する際、内部は軽元素の構造が数多く存在し観察が困難になる。そこで、内部の構造を金属標識する必要がある。そこで、液中の金属標識技術として、帯電した金ナノ粒子を付着させ、それを核に無電界めっきする手法を試みた。試しに寒天に未処理と無電界めっきしたものにSEMの電子線を照射したときのダメージを比較したところ、大幅な低減が見られた。電子線によるダメージを軽減できたことから、寒天を無電界めっきできたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、①細菌への局所ナノスーツ膜形成技術、②リポソームを用いた細菌内部の標識技術を開発する。 ①細菌への局所ナノスーツ膜形成技術の開発: ナノ孔を通じて細胞壁を除去し、露出した細胞膜に電子線照射することで、細菌の細胞膜を局所的に電子線透過膜であるナノスーツ膜に改変する。サイズの異なるナノ孔を用いて生細菌を吸引トラップし、細胞表面に大きさの異なるナノスーツ膜を形成し、生存限界サイズを調べる。 ②リポソームを用いた細菌内部の標識技術の開発: 細菌内部構造は負に帯電しているものが多いため生に帯電した金ナノ粒子を含有したリポソームを形成する技術を開発する。その際、細菌へのダメージを減らすために、細菌と同サイズである1 um級のリポソームを形成する。これを細菌由来のプロトプラストと融合することで、細菌内部を金で標識する。
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Causes of Carryover |
発注済みの装置がウクライナ人技術者によってつくられており、ロシアのウクライナ侵攻により納品が遅れてしまったため、現在、ドイツ人技術者が作製しており、2022年度納品を計画している。
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Research Products
(4 results)