2023 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ電気穿孔を用いた1細胞ダイナミクス計測法の創成
Project/Area Number |
21K18194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新宅 博文 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (80448050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
口丸 高弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10570591)
錦井 秀和 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30512834)
塩見 晃史 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (60880557) [Withdrawn]
金子 泰洸ポール 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (80873504) [Withdrawn]
鳥井 孝太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (80878463) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 1細胞 / 電気泳動 / マイクロ流体工学 / RNA-sequencing / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノスケールの内径を有するキャピラリを用いたナノエレクトロポレーションによる非殺傷的なRNA抽出法について、HeLa細胞を用いて電圧条件を検討し、2.5時間おきに4回、すなわち7.5時間、断続的にRNAを抽出することに成功した。抽出したRNAから次世代シーケンス用のRNA-seqライブラリを作製し、データを取得したところ、細胞周期進行に応じた遺伝子発現変動が観測された。顕微鏡観察から得られた細胞周期進行と時系列遺伝子発現の統合解析により、細胞周期進行速度に観察された細胞間のばらつきを説明する遺伝子制御ネットワークの部分グラフを抽出することに成功した。開発したRNA抽出法を線虫の受精卵に適用し、1細胞期、2細胞期および4細胞期の各段階で遺伝子発現を計測しながら、胚発生過程を観察できることを示した。低温度培養環境においておよそ50%の胚致死性を示すoma-1変異体に対して本方法を適用し、時空間遺伝子発現と胚発生の観察結果から胚致死性を決定づける遺伝子発現量の特徴を特定した。トラックエッチドメンブレンを用いたナノエレクトロポレーションにより細胞非殺傷的にRNAを抽出できる条件について探索した。抽出した細胞質RNAを空間捕捉するゲルマトリックスを開発し、補足したmRNAから逆転写による相補的DNAの作製に成功した。また、in situ ハイブリダイゼーションを用いた方法によりその相補的DNAの可視化を実現した。これらの取り組みに加えてマウス大腿骨から採取した造血前駆細胞に対して最適なナノエレクトロポレーションの電圧条件を見出し、外来分子を細胞表面張力依存的に細胞内へ導入することに成功した。細胞に導入した外来分子と内在性のRNAを同時かつ1細胞解像度で定量する新しい解析方法を開発し、その方法に関する学術論文をまとめることができた。
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