2023 Fiscal Year Research-status Report
Mycelial factory for production of biopharmaceuticals using synthetic biology
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21K18224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 与一 京都大学, 農学研究科, 教授 (70252517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 護之 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70771294)
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2026-03-31
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Keywords | きのこ / 食用担子菌 / タンパク質分泌 / 小胞輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
高額なバイオ医薬品を、進化的にユニークな真核生物である事かがわかってきた担子菌(きのこの仲間)を利用して効率的に生産するためのシステム作りを目指す研究である。具体的には、ヒト型の糖鎖修飾酵素遺伝子を担子菌に人工的に導入し、培養後に発現誘導をかけることで、休止菌体を用いてヒト型糖鎖修飾された組換えタンパク質の生産を行うことを目指している。研究が成功すれば、動物ウィルスの混入のないヒト型タンパク質を製造する技術が確立され、ガンやウィルスに対する抗体療法などを安心安全かつ安価に提供可能になることが期待される。高マンノース型以降の修飾系をもたないという真核生物の共通祖先に通じると考えられるユニークな糖鎖修飾系を持つ事がわかった担子菌を用いて、ヒト型の糖鎖修飾系を合成生物学的な手法により導入して、休止菌体によるヒト型糖タンパク質の生産システム構築を目指す。このようにして生産されたヒト型糖タンパク質は、安価で安全なバイオ医薬品として活用されることが期待される。子嚢菌類とは進化的に異なるグループに属する担子菌を新たな産業用微生物として利用していく分野を開拓することが目標である。昨年度に引き続き、小胞体、ゴルジ体相当物、分泌小胞などのタンパク質分泌系を構成する様々な細胞内小器官に局在すると予想される複数のタンパク質と蛍光タンパク質の融合タンパク質を組換えにより作成し、ヒラタケ細胞内におけるそれぞれの分泌系細胞内小器官の局在について調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担子菌類におけるタンパク質分泌系の実態については、これまでに研究例があまり知られていない。我々の研究によって、分泌系の可視化が順調に進んでおり、今後の研究の基盤となるような成果が見られている。これまでの成果は、国際誌に査読付き論文として出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くの融合蛍光タンパク質を作成し、分泌系に関与する細胞内小器官の観察を行って、それぞれの器官の局在や相互関係について解明していく。特に、子のう菌で提唱されているような初期ゴルジ体と後期ゴルジ体を担子菌でも区別することができるのかどうかについて明らかにしていく。また、それぞれの器官にタンパク質を局在させるシグナルの同定についても着実に進めていく。
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Causes of Carryover |
研究成果は順調に上がっているが、本年度は研究代表者がOECDの共同研究プロジェクト実施のため、スペインに7ヶ月滞在する必要があったことから、一部の研究計画が予定通りに進まなかったため、次年度使用額が生じた。
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