2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis for cannibalism behavior
Project/Area Number |
21K18236
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
千原 崇裕 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (00431891)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 共食い / 感覚 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が偶然発見した“共食い行動”を示すショウジョウバエ変異体“共食い変異体”を切り口に、共食い行動の分子基盤、 特に化学受容による共食い行動制御の分子機構を解明することを目指した。 まず、共食い変異体”の発生過程を詳細に記載し、共食い行動の特徴を掴むための行動観察を行った。その結果、“野生型”と“共食い変異体”を一緒に飼育すると、“野生型”の発生速度が顕著に遅れることが明らかになった。様々な実験結果から、この“野生型”の発生遅延は、“共食い変異体”からの攻撃による野生型幼虫の傷が原因である可能性が高いことが判明した。次に“共食い変異体”の生理状態を解析するためにTAG定量や飢餓ストレス関連遺伝子の発現レベルを解析した。その結果、“共食い変異体”は特に飢餓状態にはなっていないことが明らかになった。ショウジョウバエであっても極度な飢餓状態になると共食いを起こすことが知られているが、“共食い変異体”では飢餓状態にならずに共食いを起こしていることになる。更に、共食い行動による「非捕食個体“野生型”における”傷口”」の測定のために、高輝度赤色発光タンパク質Akalucを用いた損傷レポーター(自然免疫レポーター)の開発、“共食い変異体”の行動特徴を掴むための幼虫行動トラッキングシステムの確立を行なった。これまでに得られたデータを学術集会で発表することで発生学、神経行動学、神経生理学、進化生物学分野の研究者からインプットを受けることができており、現在は本研究内容を国際科学雑誌に投稿するための準備を行なっている。
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