2022 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of the function of regulatory and pathogenic IgG4
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21K18256
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 義裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (20415269)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | IgG4 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトIgG抗体にはIgG1, IgG2, IgG3, IgG4のサブクラスが存在するが、IgG4に関しての知見は非常に乏しい。IgG4はFc受容体への結合の弱さ、補体活性欠如、Fabアーム交換による二重特異性の特徴がある。多臓器線維化を示す自己免疫性の「IgG4関連疾患」が発見され、IgG4抗体の病原性が国内外で議論の的になっている。逆に、IgG4が免疫を抑制する可能性が示唆されており、“病原性”および“制御性”抗体としてのIgG4抗体が脚光を浴びてきている。本研究課題では、「ヒトIgG4産生マウス」および「完全ヒト抗体産生マウス」を新規マウスモデルとして、IgG4陽性B細胞の分化・活性化機序と種々の疾患病態におけるIgG4の正負の制御を明らかにすることを到達目標とする。 今年度は、独自に樹立したIgG4産生マウスを用いて、IgG4陽性B細胞の分化誘導をin vitroおよびin vivoで行うことに成功した。免疫後の抗原特異的なIgG4+胚中心B細胞およびプラズマ細胞も検出することが可能となった。LATY136FマウスはIgG4関連疾患類似モデルとして知られるがマウスIgG1がヒトIgG4に対応するとみなしたモデルであった。g1-hIgG4:LATY136FマウスはIgG4陽性プラズマ細胞の増加が見られ、ヒト疾患に近いIgG4関連疾患モデルを樹立できた。また、完全ヒト抗体産生マウスにおけるIgG4陽性B細胞を同定することができた。しかし、人工染色体に挿入されたGFPが非常に強くフローサイトメトリー解析において他の蛍光に干渉するため、限られた蛍光色素しか使えないという問題に直面した。そこで、完全ヒト抗体産生マウスのGFPを欠損したラインを新たに作出した。さらに、オリジナルはICR背景であったため、より疾患モデル解析に向くC57BL6へとバッククロスを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究遂行し、期待した結果が得られている。遺伝子改変マウスの準備も滞りなく進んでいる。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、g1-hIgG4マウスの性状解析とIgG4陽性B細胞の機能解析をおこなう。定常状態では、IgG4陽性B細胞は存在しないため、IgG4陽性B細胞の分化誘導をin vitroおよびin vivoで行う。さらに、IgG4産生プラズマ細胞、IgG4陽性胚中心B細胞への分化誘導能をIgG1陽性B細胞と比較検証する。次に、g1-hIgG4を用いて疾患横断的にIgG4の病理的意義を理解し、その作用機序の解明を目指す。モデルとして、IgG4関連疾患(IgG4-RD)、自己免疫疾患、がん、アレルギーを対象とする。この際、g1-hIgG4マウスはIgG1をヘテロ欠失しているので、コントロールとして独自に樹立したIgG1欠損マウスを用いる。IgG4は免疫応答の亢進と抑制、両方の側面の可能性があるので、その点を特に検証する。IgG4に特徴的な表現型が得られればそのメカニズムの検討を行う。ヒト化FcgRマウスの作出を計画していたが、予定を変更しDr. Jeff Ravetchが樹立したヒト型FcgRマウスを利用することとした。今年度、既に入手済みである。
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Causes of Carryover |
予想以上に研究が進展したため、想定外に備えて計画していた実験が不要になったため、次年度での細胞および遺伝子解析とモデル実験のための研究費に当てる予定である。
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