2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K18312
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 誠一 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70315125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 直樹 九州大学, 大学病院, 教授 (60325529)
加葉田 雄太朗 長崎大学, 情報データ科学部, 助教 (40830097)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 多目的最適化 / パレート解 / 特異点論 / 医療情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2021年度)は,理論面とデータ収集面の2面から「医療における多目的最適化」問題の研究を進めた. 理論面については,その基盤となっている「多目的最適化問題の解集合であるパレートフロントの特異点」について,第一歩となるべく理論的成果を得た.より具体的には,2つの2次関数を目的関数とした場合,そのパレートフロントの頂点(曲率を用いた特異点の一つ)が解析的に決定できることを示し,さらにこの頂点が変数の摂動に対して最も不感になり得ることも示した.単純な問題設定ではあるが,これにより特異点を用いることでパレートフロントから適切な性質を持った(すなわち選択基準を説明可能な)解を選出できることが示された.さらに,2つの2次関数が自然な形で目的関数となる応用例として「Ridge回帰」を採り上げ,正則化項とのバランスパラメータのチューニングをしなくても,前記の考えにより一意に解を決定できることを示した.さらには,3以上の2次関数を目的関数とするケースにおいても全く同様の議論ができることも示した.さらに,2次関数の代わりに(より応用範囲が広いと考えられる)正規分布を目的関数とした場合についても,パレートフロントの曲率を用いた議論が可能であることも示した. データ収集面については,クリニカルパスデータの収集を病院で進めている.特に,上記の理論が連続値データを中心に進めていることから,医療データのうちで(実施した・しない,などのバイナリではなく)連続値としての扱いが可能なデータについて,その入手および利用が可能となるよう手続きを進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
背景の異なる3人の研究者のグループ(情報学,数学,医学)から構成される挑戦的なテーマであるが,コロナ下でありがながら,オンライン・対面と何度もミーティングを重ねることで,上記の結果を得るに至っている.特に理論的検証については,理論(数学的視点)に留まらず,その応用(情報学的視点)についても,医療データに限らず様々な場面で適用可能性が見えており,大いに期待でききるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記両方向について,引き続き研究を進める.理論については,多様な特異点のうち,曲率以外の様々な特異点についても,その存在や,目的関数のモデルの影響,さらには応用における解釈(元の多目的最適化問題においてどのような考えて得た解であるか)を確認していく.医療データについても,特に連続値データのハンドリングを引き続き検討していく.さらに,本年度には,具体的な医療データへの理論適用も開始し,それによる一意解が医療的にどの程度妥当なのかも検証する.
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Causes of Carryover |
実績の項でも述べたように,本年度は,結果として理論基盤構築に重点を置いたために,備品費の予定よりは大きくならなかった.今後,医療データを含めて実際の問題を解く場合に,必要な計算機を購入するのに充てる予定である.さらに,コロナウイルスの影響により,当該分野における海外調査を含めた出張支出もやや限定的となった.
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Research Products
(1 results)