2021 Fiscal Year Research-status Report
黒とその倫理の研究――ラ・トゥール(1640)からBLM(2020)まで
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21K18330
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 有希子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20609151)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 黒 / メランコリー / 中之島美術館 |
Outline of Annual Research Achievements |
挑戦的萌芽研究「黒とその倫理の研究--ラトゥールからBLMまで」の資金を取得してから半年ということで、まずは「黒」に関する基礎文献を購入して、読み込んでいく作業を徹底した。多数の文献に目を通したが、ジュリア・クリステヴァ『黒い太陽: 抑鬱とメランコリー』(Julia Kristeva, Soreil Noir, Depression et Melancolie, Editions Gallimard, 1987)とジョン・ハーヴェイ『黒の文化史』(John Harvery, The Story of Black, REACTIONS BOOKS LTD PUBLISHERS, 2013)は学ぶ点が多かった。この半年は主に、黒色とメランコリー(黒胆汁)との関係を深めることに費やした。 また新型コロナウィルスの影響で出張が難しい日々が続いたが、2022年3月に、大阪中之島美術館への見学を行った。遠藤克彦により設計されたこの美術館は真っ黒な外観をしており、黒の研究で欠かすことのできない建築である。その報告を「中之島美術館――愛される黒のゆくえ」(水声社コメット通信第20号、2022年3月31日、15-16頁)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の半年は文献を入手し、情報処理することが求められていたので、それは概ね達成された。予定していた中之島美術館への見学も実行でき、計画通りと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は黒とメランコリー、また中之島美術館と現代の黒について研究を進めたが、2022年度は黒人差別の歴史と黒について研究を進めたい。Denise Murrell, Posing Modernity: The Black Model from Manet and Matisse to Today, New Haven and London: Yale University Press, 2018を皮切りに、研究を進めて、2023年度末の単著の出版に備えたい。ただし本年度予定していたアメリカへの調査旅行は、昨今の国際情勢を鑑みて、見合わせる可能性があるので、代替えの調査方法などを模索していきたい。
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