2023 Fiscal Year Research-status Report
Bridging Disability Studies and Ethics: Basic research on constructing ethics from the survival of people with disabilities
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21K18346
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野崎 泰伸 立命館大学, 人間科学研究科, 非常勤講師 (80469113)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 倫理 / 障害者 / 動物 / インターセクショナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)相模原事件に関して、①優生思想の観点から、②障害者の地域生活の観点から、③障害の社会モデルについて、④死刑についてそれぞれ説明することによって、「自分ごと」としてとらえられるように「「自分ごと」として相模原事件を考える」を執筆した(生田武志・山下耕平編『10代に届けたい5つの"授業"』,大月書店,147-187)。
(2)立岩真也『人命の特別を言わず/言う』(筑摩書房,2022年)について検討し、この本が分析している障害者の生と動物の生に関する一貫した議論とは別様に、一貫した議論を「立岩真也『人命の特別を言わず/言う』を読む」で模索した(『現代生命哲学研究』第13号 (2024年3月):113-128)。
障害学と倫理学とを架橋する試みを行うにあたって、障害者の生をめぐって、何が倫理的な問題なのかを明示する必要があるが、それを(1)で行った。ここで指摘した問題群が、まさに「自分ごと」としてとらえられるかどうかが、私は重要な点の一つであると考えている。その点を、従来の倫理学は決定的に見落としているのではないか。また、(2)では、立岩真也の議論がどれほど重要なのか、動物倫理学を研究している者は理解する必要があると述べた。そのうえで、立岩の議論に足りていないものを模索していくと、立岩とはまた別の一貫性を求めざるを得ないと述べた。立岩の議論が一貫していないのではなく、そうではない一貫性を探ることにより、二つの道に開かれることを示したということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターセクショナリティの観点から、障害者問題を検討できた。そのなかでもとくに、現在研究が活発に行われている批判的動物研究の観点をも取り込み、障害者と動物に関する倫理的研究を行うことができた。 しかし、障害とその他の交差性(人種、民族、ジェンダー、不登校、貧困など)についての分析ができなかった、
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況でも述べたとおり、障害とその他の交差性の問題については「「自分ごと」として相模原事件を考える」で軽く触れただけであり、今後の研究課題の一つとして挙げられる。それが、障害学と倫理学とを架橋する課題となってくる。科研費は終了するが、継続して研究していくつもりである。
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Causes of Carryover |
2023年度で事業は終了、2024年度は献本にかかる費用のみを計上。
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