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2021 Fiscal Year Research-status Report

身振り言語に見る戦後日本の知識人ーー加藤周一、丸山眞男、鶴見俊輔を例にして

Research Project

Project/Area Number 21K18347
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

鷲巣 力  立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (30712210)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡本 雅史  立命館大学, 文学部, 教授 (30424310)
加國 尚志  立命館大学, 文学部, 教授 (90351311)
北村 順生  立命館大学, 映像学部, 教授 (20334641)
半田 侑子  立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (50816767)
桜井 均  立正大学, 人文科学研究所, 研究員 (80595851)
山辺 春彦  東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (70638783)
Project Period (FY) 2021-07-09 – 2024-03-31
Keywords戦後日本思想 / 知識人 / 身振り言語 / マルチモーダル法 / 書き言葉と話し言葉 / 加藤周一 / 丸山眞男 / 鶴見俊輔
Outline of Annual Research Achievements

本研究計画は、戦後日本の代表的知識人、加藤周一、丸山眞男、鶴見俊輔を例として、身振り言語と書き言葉とがいかに関係しているかを分析する研究である。まず3人が出演した映像作品をリストアップし、もっとも多くの作品を制作したNHKと、その使用交渉を始めた。その交渉は難航し、今も交渉は続けているものの、22年に入り在野の研究者である永田誠氏から、加藤の出演番組を中心に81本の作品を入手した。
入手した映像作品のアーカイブ化については、分担者岡本の指揮のもとで3名の作業者によって①デジタル化、ならびに②データベース化(xlsx形式)を行なった。①についてはアノテーションソフトELANによる作業が可能なフォーマットにデジタル変換する必要があり、画質を落とさずにファイル容量を抑えることができるm4v形式ないしmp4形式に統一して変換を実施した。②については、各映像の放送日、番組タイトル、放送番組、変換実施日、に加えて、カテゴリーとして対談、討論、インタビュー、ドキュメンタリー、ニュース等に分類してデータベース化を行った。2021年度内に寄贈映像81本分の作業が完了した。一部の映像は破損のため変換が不可能であったが、そうした映像はごく少数に留まっており、加藤周一の多様な音声表現活動を概観する上で、さらには翌年度以降に取り組む③アノテーション作業を行う上で、十分な量のアーカイブ化を行うことができたと考える。
一方、加藤周一の「知・情・意」を研究するために、書き言葉(エクリチュール)と語り言葉(パロール)の交差検証するために、加藤出演のテレビ番組、講演記録などの音声を、文字変換装置を使って活字化した。
さらにかもがわ出版から出された加藤周一対談集の音声テープ(例えば江藤文夫との対談『巨匠』を読む 巨匠を語る」の江藤文夫との対談録音)を入手し、使用可能なものを選別し、文字化する作業を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究計画は、代表的な戦後日本の思想家、加藤周一、丸山眞男、鶴見俊輔の身振り言語と思想との関連性をつかむという研究である。研究には加藤、丸山、鶴見が出演した映像番組を入手することを前提として成り立つものである。3人の出演した番組は、主としてNHKによって制作されている。本研究計画が科研費として採択される以前に、それらの映像番組をきわめて安価に購入できる約束が成立したと判断していた(しかし、契約書を取り交わすところには至っていなかった)。ところが、以前の交渉から3年を経過し、本研究の科研費採択が決定したのは、2021年7月だった。同年9月に入り研究分担者桜井均(元NHK職員)が、科研費採択を受けてこの交渉を再開した。ところが、NHKの担当責任者が異動となっていたことと、もうひとつ、コロナ禍のなかでかつての制作番組の再放送が盛んに行われるようになった結果、NHKが所蔵する古い映像番組の位置づけが大きく変わったこと、主としてこの2つの理由によって交渉は振り出しに戻り、仮に購入するとなると購入価格が予定の数倍になることが判明した。その条件を受け入れると、本研究計画は予算的に成り立たなくなる。この交渉は難儀を極め、最終的には、22年に入って、NHKからの購入交渉は進めるものの、研究活動に支障をきたさないように、在野の研究者永田誠氏と交渉することに方針を転換した。そして永田氏の御厚誼により81点の加藤が出演した映像作品を譲渡された。しかし、研究活動に大きな悪影響を及ぼしたことは間違いなく、それは研究成果として発表した数が減った。
また基礎作業を行ってもらう専属の作業者の雇用が予算的にも叶わず、立命館大学の大学院生が個々人の研究と並行してアーカイブ化作業に携わることとなった。そのために当初の予定よりも作業時間が大幅に少なくなったこともあり、作業は当初の予定を遅れ、上記のような評価とした。

Strategy for Future Research Activity

本研究計画は、NHKやテレビマンユニオンが制作した映像作品が研究素材となる。研究のみならば、すでに入手した映像番組で進められるが、これを広く社会的発信に使用するときには、権利関係を整えておく必要があり、したがってNHKなどから映像作品を購入する交渉は続けなければならない。
そのうえで、初年度に引き続き残りの映像作品のアーカイブ化を進めるとともに、加藤周一の身振り言語を明確に示すことができると考えられる映像作品を選出し、アノテーションソフトELANによる言語・非言語アノテーションを開始する。アノテーション作業としては、加藤の発話音声を詳細に書き起こすとともに、視線やジェスチャなどの非言語情報をなるべく正確に捉える必要がある。前者の書き起こし作業では加藤の膨大な知識や深い教養に裏打ちされた専門用語や発話文脈を理解する必要があり、作業者となる大学院生だけではそうした作業が不可能であるため、本研究課題の代表者ならびに分担者によるチェックや校正を含めた連携作業が必須となる。
一方、非言語情報についてはELANを用いる専門的技能が必要となるため、これまでにそうした非言語情報のアノテーションを行った経験が豊富な作業者を新たに雇用する予定である。いずれの作業もアーカイブ化に比して膨大な時間と労力を要するため、年度内にアノテーションを完了させられる映像作品の数は限られることが予想される。したがって、上述した映像の選出を慎重に行う予定である。
加藤が出演したほどに多くの映像作品が残されているわけではないが、丸山眞男、鶴見俊輔の出演した映像番組の分析にも入っていくことを予定している。
さらにマルチモダール分析で明らかになった加藤、丸山、鶴見の身振り言語の特徴を、書き言葉との関連へと研究を進めていきたい。この側面については初年度は未着手に終わったが、映像分析の成果に伴って進めていきたい。

Causes of Carryover

21年度の進捗状況に触れたが、当初、加藤周一、丸山眞男、鶴見俊輔が出演した放送(映像)番組をNHKから購入する予定だった。ところがNHKの態度が一変し購入交渉は難航、合意は成立しなかった。それゆえ物品費として当初140万円を計上したが、そのほとんどが次年度使用額として残る結果になった。また東京在住の研究者を交えた研究会を開く予定も、研究会自体が開けないまま、旅費として計上した予算も手つかずに残った。人件費もNHKから購入した映像番組のデータベースを作成するアルバイトを雇用する予定であったが、それは今期は断念した。22年1月に在野の研究者永田誠氏から譲渡された映像番組を使ってデータベースを作り始めることになったが、それでも期間的にも短く、人件費も当初の予定額を下回った。
かくして大幅に次年度使用額に繰り越す結果となった。加藤が出演した番組は上述のように確保できたので、研究活動に支障は生じないと思うが、丸山、鶴見の出演した映像番組を購入する必要がある。NHKの過去の作品に対する位置づけが変わり、当初の予定ほど安価には購入できないだろうが、映像番組を購入しておかないと、これらを使った研究を社会的発信に利用するとき、著作権問題等が発生しかねないので、正式に購入する手続きを取るべきだと判断している。そのための予算を200万円から300万円に設定し、この範囲内で映像番組を購入する予定である。

  • Research Products

    (10 results)

All 2022 2021

All Journal Article (3 results) Presentation (7 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] なぜ『日本文学史序説』は書かれたのか2022

    • Author(s)
      鷲巣力
    • Journal Title

      日仏文化

      Volume: 91 Pages: 71、87

  • [Journal Article] 丸山眞男の正統論と福沢諭吉2022

    • Author(s)
      山辺春彦
    • Journal Title

      丸山眞男記念比較思想研究センター報告

      Volume: 17 Pages: 93、117

  • [Journal Article] 「日本文化の雑種性」の成立について2021

    • Author(s)
      半田侑子
    • Journal Title

      立命館大学人文科学研究所紀要

      Volume: 129 Pages: 161、200

  • [Presentation] 『レトリックの戦場』と「青春ノート」2022

    • Author(s)
      半田侑子
    • Organizer
      岩津航『レトリックの戦場 加藤周一とフランス文学 』公開合評会
  • [Presentation] ドラマ内相互行為に現れる非流暢性要素の特徴 ―日常会話との比較から―2021

    • Author(s)
      伊藤有梨・岡本雅史
    • Organizer
      社会言語科学会第46回研究大会
  • [Presentation] なぜ『日本文学史序説』は書かれたのか2021

    • Author(s)
      鷲巣力
    • Organizer
      北京大学・東方文学会
    • Invited
  • [Presentation] 加藤周一『日本文学史序説』がもつ特徴2021

    • Author(s)
      鷲巣力
    • Organizer
      北京大学・サマースクール
    • Invited
  • [Presentation] 加藤周一にとって「日本文化の雑種性」とは何か2021

    • Author(s)
      半田侑子
    • Organizer
      立命館大学加藤周一現代思想研究センター
  • [Presentation] 『加藤周一を21世紀に引き継ぐために』合評会2021

    • Author(s)
      鷲巣力、加國尚志、半田侑子、小関素明、三浦信孝、金子元
    • Organizer
      立命館大学加藤周一現代思想研究センター
  • [Presentation] 都築勉『おのがデモンに聞け』合評会討論記録2021

    • Author(s)
      山辺春彦
    • Organizer
      丸山眞男記念比較思想研究センター公開研究会

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Published: 2022-12-28  

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