2023 Fiscal Year Annual Research Report
Grammar in the text genre: Interaction between the text and the construction as its element
Project/Area Number |
21K18359
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
志波 彩子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80570423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 正浩 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00230201)
宮地 朝子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10335086)
井本 亮 福島大学, 経済経営学類, 教授 (20361280)
前田 直子 学習院大学, 文学部, 教授 (30251490)
勝川 裕子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40377768)
大島 義和 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (40466644)
永澤 済 上智大学, 言語教育研究センター, 准教授 (50613882)
田村 加代子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80233120)
齋藤 文俊 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90205675)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 構文 / テキスト / ジャンル / 構造と要素 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは,従来の研究では未開拓であった文法とジャンルの関係を,「構文」という単位を切り口に考察したものである。そのジャンルには,当該ジャンル特有のテキストタイプがあり,テキストは場面描写や状況説明,背景説明,事実報告といった意味・機能を持ってパターン化している。こうしたテキストの部分(要素)である構文は,全体としてのテキストの意味に貢献しつつ,同時にテキスト,ひいてはジャンルの影響を受けながら存在しており,両者には部分と全体のダイナミックな相互作用がある。 本研究は現代日本語研究,日本語の史的研究,日本語教育,中国語学,中国語教育という様々な分野からジャンルと文法の関係を考察してきた。その結果,中国語の古典的テキストには,ジャンルによって非常に固定的なパターンがあり,構文がこの固定化したパターン(構造)の要素として全体を構成していることを明らかにした。一方,日本語には,中国古典語のテキストほどにはパターン化した構造は見られないものの,各ジャンルには特有のテキストの構成があり,構文はそうしたテキストの要素として,テキストの中で影響を受け,変化していることを明らかにした。すなわち,言語の変化の記述は,テキストやジャンルから切り離されたところでは成り立たず,テキストとの相互作用の中で記述すべきであることが示唆された。同様に,現代日本語の文法記述も,1つの形式が持ついくつかの用法と呼ばれるものはジャンルに依存していることが多く,ジャンルの性質とともに記述されるべきであることが示唆された。これは,言語教育においても同様であり,ある文型(構文)の提示・教育は,ジャンルの性質とともに行われるべきであることを意味している。
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