2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18370
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅原 彩加 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80755710)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 早期英語教育 / 言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校にて英語教育が開始され学齢期前から早期英語教育を行う保護者が増えている。イマージョン教育を行っている施設・団体はそのメリットを説く一方、言語学者や教育学者の間では懐疑的・否定的な意見が少なくないが、早期英語教育の是非について専門家間でなされている議論は世間一般に共有されていないと言わざるを得ない。日本における早期英語教育の影響・効果について定量的に行われている研究は多くなく、小学校における英語教育が中学校英語に及ぼす影響を調べたものは散見される一方、学齢期前の幼児の早期英語教育が母語獲得過程に与えうる影響について調べたものは皆無に等しい。そこで本研究は、学齢期前の早期英語教育が共時的に母語獲得過程に何かしらの影響を与えうるかどうかについて調査するものである。具体的には、基本的に日本語のみに触れている幼児と早期英語教育を行っている幼児を対象に、日本語で指示がされるイベントに参加してもらい、言葉に関係のないゲームなどを行い、さらに言語学が対象とする現象の理解を調べる実験を行うことが計画されている。 本年度は、パンデミックへの対応の観点から、対面での実験を行うことがかなわず、実験の準備を行った。具体的には、次年度にスムーズに実験を開始できるよう、イマージョン教育や早期英語教育を行っている施設のリストアップを行った。さらに、イベントと実験の計画を立て、イベントで使用する小道具の準備や実験の刺激準備を行った。また、世界において主要な第一言語(家庭や社会において支配的な言語)の他に強力な第二言語が話されている地域での教育の状況を知るため、諸外国の教育動向を複数の書籍を購入し調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画において、本年度からイベントおよび実験を開始できると計画していたが、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、幼稚園・保育園は外部からの人間のコンタクトにかなり敏感である状態が続いている。ゲームのルールを理解してもらいリアルタイムでゲームに参加してもらう、といった参加型イベントを計画している研究の性質上、対面でイベントおよび実験を行うことは必須であり、その点で進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。 今年度は、イベントや実験の計画をし刺激を作成するコンピューターを購入し、諸外国における外国語教育を調査するために政府やOECDが発行する文献を購入した。 それら本年度の活動により、本年度のうちにイベントのシミュレーションを行い必要な小道具の準備ができた点、行いたい実験をリストアップして対応する刺激の準備などをすることができた点では、ある程度の進捗は認められたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、イベント・実験を安全に実施できる方策を練った上で実施計画を遂行する。本年度中に準備をしたイベント・実験を実施し、結果を分析し広く公開する予定である。また、英語教育を研究対象とした学会へ赴き、研究者との意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
対面の実験が行えなかったことにより、当初本年度に支出を予定していた国際学会への参加に伴う旅費、研究補助者のイベントへの旅費、被験者謝金を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度には、学会への参加や実験を行うことに伴う被験者謝金として主に使用する予定である。また、本年度に当初計上していて購入がかなっていなかった消耗品等も、今後購入し使用する予定である。さらに、研究補助者の雇用も計画しており(現在1名登録しており、年度後半にもう1名雇用開始する予定)、スムーズにイベントや実験を実施するために使用する予定である。
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