2022 Fiscal Year Research-status Report
深層学習を用いた画像診断による玉類の産地同定の簡易化研究
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21K18378
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40403480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 朋美 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10570129)
正司 哲朗 奈良大学, 社会学部, 教授 (20423048)
飯塚 義之 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (90804203)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ヒスイ / 碧玉 / ガラス / 深層学習 / 化学組成 / 産地推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ禍が落ち着き始めたものの、自由に海外渡航できるまでには至らず、基本的にオンラインと資料の相互送付を通じて研究を進めた。前年度に引き続き、研究協力者が保有している玉の素材となる原石を整理し、岩石学的な分析を担当している台湾にいる分担者に送付した。これによって、日本列島のヒスイとネフライトの岩石学的分析がほぼ完了した。今度のヒスイ及びネフライト製品の産地推定に活用する予定である。碧玉に関しては 一部送付が完了したが、まだ途中である。 深層学習において色を含む学習を行う場合、能力の高いグラフィックボードを有したワークステーションが必要であり、今年度、その構築が完了した。研究分担者が活用し、分析に入っている。ただし、色情報に関するデータ収集は極めて困難なことが判明した。これについては現在、新たな方法を模索している最中である。ガラスの分類に関しては、深層学習によって効率化することができ、化学組成、分類及び細分型式、製作技法、特徴を入力し、化学組成だけで細分型式を示すシステムの構築を試みた。これ自体は前年度にある程度成功していたが、今年度も継続して進めたことによって、より精度を上げることができた。ヒスイや碧玉でつくられた玉類に関しても、既存の分析データと新し岩石学的データの入力を進め、産地推定の効率化を試みていきたい。 一方、こうした方法の開発を進めつつ、今年度は、モンゴルやベトナムで行ったガラス分析成果を統合し、論文化した。これによってアジアのガラス流通及び日本列島へのルートをかなり限定できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は上述したように前半はコロナ禍で外部に出張することが困難であったが、9月末からは帰国時のPCR検査はなくなり、年明けには台湾からの移動も可能になった。そのため、今年度の後半期に打ち合わせや資料の選定が集中した。また、原石資料の送付は前年度に方法を確立していたので、前半期に問題なくお互いの資料の分析を行うことができた。深層学習用のワークステーションの構築が完了したので、順次データ入力を行っている状況である。色情報の獲得において問題があるため、別の方法をとる必要があるものの、基盤構築に関しては、概ね順調といってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は碧玉を中心に岩石学的分析を進める予定である。コロナ禍は落ち着いたとみられるため、より綿密な分析を進めることが可能になると予想される。ガラスの分類に関する深層学習は多数のデータ入力があるため、補助者を雇いつつ、遂行する必要がある。また、多量の画像資料に関しては、分担者が保有しているものの、共同研究の成果などが含まれているため、今年度と同様に、関連する研究者及び機関に協力の要請を行っていく。データ入力と併行して、これにあたる。色獲得の問題が解決しない場合、玉類の孔の形態がより重要になる。これをシステムに判断させられるようにしなければならないので、これについても今年度に引き続き、データを確保し、入力を進めたい。
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Causes of Carryover |
前半が新型コロナによる渡航が困難な場所があっため、その渡航費が利用できなかった。次年度にデータ収集のために使いたい。
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