2023 Fiscal Year Research-status Report
考古学領域への「磁性分析法」の導入と開発-土器の新たな年代決定・産地同定の可能性
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21K18380
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 達朗 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (00582652)
中久保 辰夫 京都橘大学, 文学部, 准教授 (30609483)
畠山 唯達 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 教授 (80368612)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 磁性分析 / 土器 / 年代測定 / 産地同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
考古学は、遺構・遺物より人類の過去を追究することを目的とする。土器を例に取ると、肉眼観察と実測により資料の形態的特徴や製作技術等を図化し、実測図「カタログ」と対照して年代や産地の比定を行う。比定の信頼性向上のため、新たな科学的手法として「磁性分析法」の導入と開発を試みる。土器資料の磁性は、同時代・同産地の資料間では類似し「指紋」として利用できる可能性がある。本研究では、日本古代を代表する土器資料が得られている布留遺跡を中心に資料の提供を受けて、考古学的観察と記録の後、磁性分析・胎土分析を行い、結果を統合分析することで「指紋」として有望な磁性指標を見出すことを試みる。
昨年度に引き続き、布留遺跡からの資料の計約50点のうち、考古学的観察と記録、実測図作成・写真撮影等を完了した約20点の資料について、胎土分析と磁気分析も進めて完了させた。これらの資料は、焼成が異なる、瓦質焼成の瓦器(椀)、還元焔焼成の陶器(東播系須恵器鉢と常滑焼甕)、酸化焔焼成の土師器(皿)である。胎土分析では「土師器皿」「瓦器」「常滑焼甕と東播系須恵器鉢」の3つのグループ、磁気分析では主として10 K におけるIRMの段階獲得実験とDay Plotに基づいて「土師器皿」「常滑焼甕」「瓦器と東播系須恵器鉢」の3つのグループとして識別することが出来た。いずれかの分析のみで「土師器皿」のグループが識別でき、さらに両者の分析を組み合わせることで「瓦器」「常滑焼甕」「東播系須恵器鉢」を独立のグループとして、自然科学的視点で識別できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前々年度に、コロナ感染拡大に伴う所属機関の出張制限や学務増などのために、資料の選定・入手、その後の観察分析が遅れたが、その遅れが伝播したため。
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Strategy for Future Research Activity |
布留遺跡資料について考古学的観察と記録、磁性分析・胎土分析を完了させることを目指す。
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Causes of Carryover |
一昨年度に、コロナ感染拡大に伴う所属機関の出張制限や学務増などのため、資料の選定・入手、その後の観察分析が遅れたために「使用額」が生じていたが、その遅れが伝播したため「使用額」が生じた。分析を加速させるため、おもに非常勤職員を雇用するために使用する。
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Research Products
(1 results)