2021 Fiscal Year Research-status Report
Novel Platform for Bioorganism Identification Optimised for Archaeological Research
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21K18382
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
押鐘 浩之 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (10727283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植月 学 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (00308149)
藤澤 明 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (70720960)
上田 たかね 帝京大学, 医学部, 講師 (80459312)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | DNA考古学 / 土壌DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は考古学研究領域における生物種同定法に対し、分子生物学的手法の応用を通した新規メソドロジーの構築に関する。分子生物学的手法の考古学への応用に際して最もケアしなければならないのがコンタミネーションの問題であり、所望する情報(シグナル)を抽出する際に、どれだけ”S/N比”を上げることが出来るかが最も重要な焦点となると考えている。これに付随して、考古資料という希少性から、考古資料から抽出できる生体情報の可能な限りの最大化も重要であると考えている。 以上の観点から、本研究においては先ず、考古資料からDNAをできるだけ多く抽出する方法論、およびその評価法の構築を試行した。考古資料としては遺跡由来の土壌を用い、土壌サンプルから最も効率的にDNAを抽出できる溶液条件を検討した。なお、DNAの実験室的な定量にはDNAに特徴的な260 nmの吸光極大を用いてその吸光度を指標に行うが、タンパク質や他の化学物質が混在するサンプルにはこの方法は不適であり、DNA精製プロセス後に定量することが一般的であった。しかしDNA精製ステップにおける所謂アーティファクトによって収率が異なることが当然考えられる。そこで、土壌からのDNA粗抽出液の段階でDNA含有量を直接的に定量できる方法を考案することで、アーティファクトなく考古資料からのDNA抽出における最適化条件の探索を実施できる定量プラットフォームの提供に成功している。本方法は極めて簡便であることから、考古資料中のDNA含有量について発掘現場において定量できることを特徴としているため、更なるDNA解析の対象とすべき考古資料の「発掘現場における」選別に寄与できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は土壌DNAの新規定量法の確立を目標としていたが、学術論文として発表するために必要な定量データの獲得に成功しており、専門誌への学術論文の投稿も既に行った段階であり、当初計画していた通りに進展していると考えている。さらに、次のフェーズとなる抽出したDNAからの生物種同定に関しても予備検討実験も概ね実験に成功していることから、本研究は極めて順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では考古資料として土壌をピックアップし、土壌に含まれるDNAの新規定量法を構築したが、土器片や紙片・繊維片など生物の痕跡を有するであろう考古資料にも対象を拡げ、その考古資料の特性に最適化したDNA抽出法の探索を行いたいと考えている。 さらに、抽出したDNAを基にした生物種同定については予備検討段階で概ね実験に成功していることから、今後実施例を拡げることによって、DNA抽出から生物種同定までの実験ステップを確固たるものにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
年度末における事務的齟齬による。 生じた次年度使用額については消耗品費に活用し、本研究の円滑な推進を図るものとする。
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Research Products
(1 results)