2023 Fiscal Year Research-status Report
韓国現代史研究における手記分析の可能性と課題:望月カズ評価の再構成を中心に
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21K18383
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (40386561)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 韓国 / 手記研究 / 現代史 / アーカイブズ学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度と同様、研究課題に関する基礎的研究および研究基盤の形成に注力するとともに、現地調査、研究協力者との意見交換などを逐次行い、研究成果の公開に力を注いだ。望月カズ関連の研究では、その手記の記述・筆致の整合性と真実性に関する精査を進め、可能な限り客観的な人物史を再編成する試みについて、その成果の一部を公開した。 特に手記を利用した人物史編成(特定人物の生涯とその関係史を、史実および利用可能な資料に基づき、構造的(かつ正確)に理解し、その記述を行うこと)に関しては、資料間の相互補完、相互比較、信頼性評価の方法と意義を整理し、今後の研究への接続・発展の可能性を提示した。 また、望月カズの手記記述を出発点として、日本統治期にかかわる戸籍問題、朝鮮空襲関連記録、血液管理法以前の売血問題などに関する韓国現代史の研究を進めた。 このほか、手記を含む歴史的文書とその記述の取り扱いに関連して、アーカイブズ学的関心をさらに深めるに至ったことから、その方面の調査研究も推進し、成果を国内外の学会で発表し、研究者からのフィードバックを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況はおおむね順調である。ただし、発展的・応用的研究を構想しており、期間を1年延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染防止のための諸々の規制が解除されてきたことに伴い、調査と成果公開を進めている。また、発展的・応用的研究を推進する。
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Causes of Carryover |
基本的に研究は順調に進捗しているが、発展的・応用的研究を構想しており、そのために次年度使用額が生じた。
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