2022 Fiscal Year Research-status Report
Use of data science technology in the zoo: Classifying and storing behavioural data of endangered species
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21K18387
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Research Institution | Kyoto City Zoo |
Principal Investigator |
田中 正之 京都市動物園, 生き物・学び・研究センター, 生き物・学び・研究センター長 (80280775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 信明 公益財団法人京都高度技術研究所, 研究開発本部, 主任研究員 (00373506)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / 動物園 / 監視カメラ / 動画解析 / ニシゴリラ / アジアゾウ / ナックルウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に引き続き、京都市動物園のニシゴリラとアジアゾウの行動を、飼育施設に設置した監視カメラによって記録した。とくにニシゴリラでは、屋外放飼場におけるナックルウォーク(こぶしの背外側を地面に着ける四足歩行の様式で、大型類人猿に特徴的に見られる)を記録し、その運動を解析した。従来、大型類人猿のナックルウォークの運動解析は、子どもの類人猿をリードでつないだ状態でプラットフォーム上を歩かせて行ってきたが、動物福祉基準が上がった現代ではそのような拘束性の強い方法での研究は現実的に不可能になっている。このような方法に代わって現代では、複数方向からのカメラ映像をコンピュータ上で再構成して3次元的な運動を解析する方法論が可能であり、本研究ではこの方法を採る。 アジアゾウの行動記録については、対象としている京都市動物園で飼育されている個体が繁殖年齢に達し、交尾行動が観察されるようになった。これを記録するために監視カメラを設置して観察を行っている。まだ頻度は少なく、解析に十分なデータは得られていないが、3か月ごとの発情のタイミングで今後も記録を継続するとともに、カメラの台数を増やすなどしてより多くのデータ記録を目指す。 この他に京都市動物園で長期継続して実施されているチンパンジーの認知課題の場面において、タッチモニター上に設置した監視カメラ画像の機械学習により、個体の特定の他、各個体の滞在時間や、顔の向きの解析も可能となり、この成果を日本霊長類学会、動物と行動の管理学会の各学術集会において発表した。論文としては、動物園の監視カメラ映像を一般の観察者が視聴する場合に、どのようなプロトコルが有効かを検証した成果を研究分担者とともに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も前年度から続く監視カメラの供給不足により、納期が示されないなど、予定していた機材の調達が遅れたことで、十分な監視カメラ台数が確保できなかったことから、研究の進捗がやや遅れている。2020年度から続く新型コロナ感染症による行動制限の影響は少なくはなってきたものの、実際に動画データの記録のためには、カメラ位置などの試行錯誤が必要であり、前年度の遅れをリカバーするほどには勧められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、京都市動物園に設置した監視カメラ映像の記録と解析を進めるとともに、カメラ台数を増やしてデータ量を増やすことを計画している。監視カメラの供給は回復しつつあるものの、いまだ十分ではなく、このため今年度が計画の最終年度であるが、研究期間を1年延長して来年度に研究成果の取りまとめを行いたい。 具体的には、ニシゴリラの放飼場に設置するカメラ台数を増やして同時に複数方向からの撮影を行う。非拘束の状態で約200キログラムにもなる成体オスのゴリラのナックルウォークの運動解析が実現すれば、世界でも例のない成果となる他、ワカモノ期やコドモ期のゴリラもいることから、成長にともなう歩行様式の変化を記録、解析することができると期待している。 アジアゾウの行動についても、交尾行動の観察の他にも、その他の社会的交渉など、群れで飼育されているからこそ見える行動レパートリーについてもカテゴリー化を行い、記録、分析を進めていく。 この他、認知課題遂行中のミクロな動きの変化の解析についても、データの蓄積があることから解析を進め、成績と行動(顔の向き、動きなど)との相関の解析を進める。 動画データの教育場面への利用について、動画プラットフォームを運営する団体との共同研究の計画を進めており、実際に子どもや大人などでの視聴から研究を展開する可能性を探っている。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、半導体供給不足により、必要な物品の納入目途が立たず、年度内購入を諦め、次年度に購入予定としたため、次年度使用額が生じた。とくに動物の行動記録に必要な監視カメラの納期が出ない状態が年度後半まで続いたことによる。
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Research Products
(7 results)