2021 Fiscal Year Research-status Report
目に見えない地層の縞(黒色有機年縞)がもつ古環境アーカイヴとしての有用性評価
Project/Area Number |
21K18405
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 和芳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60508167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (10377997)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 年縞 / ヘドロ / 古環境アーカイヴ / フィンランド / 湖沼 / 八郎潟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古環境を精緻に記録する新しいアーカイヴ(古環境記録計)として、“目に見えない土の年輪(年縞)”の有用性についてはじめて検証するものである。目に見えない土の年輪(黒色有機年縞)の存在の可能性が高いケヴォ湖(フィンランド)、島根県中海、秋田県八郎潟、青森県小川原湖、神奈川県芦ノ湖等を対象として、過去200年間程度に相当する全長50センチの表層地層を未かく乱で採取して、見えない縞の総合的解析とともに、他年代測定などを援用させながら、独自の年縞編年を作成して、その有用性を検証する。 2021年度は、大学近郊の水域や実験室内においてテストを繰り返してグラビティーコアサンプラーと粉末ドライアイスを用いた表層地層の未かく乱サンプル(凍結サンプル)の採取方法を確立することができた。また、採取した地層の分割フローチャートの作成とそのためのハード整備を行うことができた。それを受けて、2021年11月に秋田県八郎潟調整池の浚渫くぼ地、および青森県小川原湖の湖心部にて上記方法を用いて複数の凍結サンプルを無事に採取することができた。採取した凍結サンプルの一部については、本研究のメインテーマとなる見えない縞の解析のために、X線・顕微鏡観察、μXRFスキャン分析、花粉分析を継続して実施している。 本科研によって確立した新しい地層採取方法については、社会地質学会等で発表を行うことができた。また、論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大のため、フィンランドへの渡航、また、フィンランドから協力研究者の招聘を断念せざるを得なかった。しかしながら、未かく乱で凍結させながら地層を採取するための方法および、採取した地層の分析フローを確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はケヴォ湖、中海、芦ノ湖を対象として以下の3つのステップで実行する。①堆積物採取・処理-未かく乱で凍結させながら地層を採取するための採泥器を開発・導入する。得られた凍結サンプルからは、薄片試料と、高解像度分析用試料に分割する。②見えない縞の解析-肉眼では把握できない縞模様の把握のために、X線・顕微鏡観察、μXRFスキャン分析、花粉分析を実施して、季節サイクルの検出を行う。③年縞編年の作成-得られたデータをとりまとめ年縞の認定や堆積年代の推定を行う。その際、鉛210/セシウム137年代測定を援用させ年代推定のクロスチェックを行う。同時に、歴史的イベントとの対応関係などから精度向上をはかる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、フィンランドから研究者を招聘することができなかった。そのため次年度使用額が生じた。
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