2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the development of a new mediation model with support for the restoration of direct negotiation between the parties and emotional resolution within the parties
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21K18412
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
濱田 陽子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50368586)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 民事調停 / 非暴力コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、これまで調停手続において周縁化されてきた紛争当事者の感情的側面に焦点を当て、非暴力コミュニケーションによる感情のケアと対立解消のための技法を取り入れて、情動解消に対する支援を調停手続の中に積極的に組み入れた新しい調停モデルの開発を目的とするものである。日本において交渉促進型調停として紹介・実践されている調停手続は、当事者間の関係を維持した状態での紛争解決に長けているものの、当事者間の水平的な対話を重視する方法として機能するには、当事者が相手方と建設的に対話するために不可欠な情動のケアが不十分であるために、当事者間の直接交渉回復の支援が十分に実現されていない。そこで研究に際しては、日本において交渉促進型調停として紹介・実践されている調停技法に関する研究を批判的に分析し、当事者の情動が手続から疎外される要因を明らかにするとともに、感情的側面から当事者間の対立解消を目指す非暴力コミュニケーションの技法と価値観を既存の調停技法に融合させる方法を模索する。 初年度である2021年度は、基礎資料の収集等を行うとともに、既存の交渉促進型調停の理論・技法に関する日本での研究の調査・分析を中心に行い、交渉促進型調停の理論・技法の理念や目指す解決の方向とこれらの実践に対する批判的研究について整理・検討を行った。また、当初は2022年度より開始予定だった非暴力コミュニケーションに関する調査を2021年度後半より開始し、2022年度以降の研究の基礎を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度には海外での調停手続の研究・実践の調査および非暴力コミュニケーションに関する資料収集・インタビュー等を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で国内外の出張とそこでの調査研究を実施できず、これらの調査・研究を2022年度に持ち越さざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に引き続き国内の調停手続に関する研究を継続するとともに、国外における調停手続および非暴力コミュニケーションに関する研究を本格的に開始する。ただ、2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響が残ると考えられ、その場合には、非暴力コミュニケーションに関する少なくとも国内の資料収集・インタビュー等は、資料の送付依頼や文書によるアンケート等出張を伴わない方法で実現できる方法を模索する。
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Causes of Carryover |
本研究の基礎となる調停手続と非暴力コミュニケーションに関する国内外の資料収集が不可欠であるところ、資料収集・インタビュー等のために予定していた出張が新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった。これにともなう研究実施計画の変更に伴い、これらの調査を2022年度に行うこととし、他方で2022年度に請求する助成金額を一部2023年度に持ち越すことにより、研究期間内に予定する研究を完了する予定である。
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