2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18429
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ネットワーク / 情報開示 / 外部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はその行動の収益性に関する不確実性に直面している経済主体が相互に外部性のリンクでネットワーク状に結ばれている状況を考える。ここでの外部性のリンクとは一つの経済主体の行動が別の経済主体の利得に正の影響を与えるような状況である。行動の収益性はどのステートが実現するかによって決まるが、実現するステートに関しては政府が不完全で私的な情報を有している。例えば地球温暖化について各経済主体が対策を取ることの便益について政府はそれらの主体よりも正確な情報を持っているとする。あるいは経済特区への進出を各主体が検討する際にその収益性に関する情報を政府が持っているような状況を考える。政府の目的が各主体に対策・行動を促すことである場合に、政府はそれらの経済主体にどのようにその私的情報を開示することが最適であろうか?一つの情報開示の方法として、すべての経済主体に等しく完全に持っている情報を開示することが考えられる。また反対にどの主体にも全く何も開示しないことも考えられる。現在までの研究においては最適な情報開示が外部性のネットワークの形態と密接に関連していることがわかってきた。具体的には相互により密接に結びついたような経済主体のグループとその周辺にあるような主体のグループというように全体を2つのグループに分け、それぞれに対して完全開示と完全非開示を行うことで最も行動を促す確率を上げることができることが示せる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最適な情報開示とネットワークの形態にについてある程度の知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の特徴づけは外部性のリンクが方向付けされていないようなネットワークについて得られたものである。すなわち経済主体1と2の間に外部性のリンクがある場合に1の行動が2に与えるならば、2の行動は1に影響を与えることを仮定している。今後の研究としてはより現実的に外部性に方向があるようなネットワークを考え、そのような経済主体のネットワークに対する最適な情報開示方法を特徴づけることを考える。
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Causes of Carryover |
これまでの理論的な考察を行うにあたって既存の文献等の参照で間に合ったために書籍の購入等を必要としなかった。次年度の研究に当たっては新たな文献の購入等を予定するとともに、研究の広報に関連する支出も考慮する。
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