2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization and structural elucidation of the potential land with unknown owners in Japan
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21K18438
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
桑原 美香 福井県立大学, 経済学部, 教授 (90405069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐渡 広志 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00345555)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 所有者不明 / 空き家特性 / 二項ロジスティック回帰分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体では、今後所有者が不明となる可能性の高い土地について、空間計量経済学の手法を用いてモデル化・可視化し、超長期的課題とその対策について検討することを目的としている。数年内にも相続件数が増加し、空き家や耕作放棄地が増えることや、所有者不明土地や入会地の多数共有の問題も顕在化することが考えられる。数量的、視覚的に現状把握をし、予測の手法を考案することで、各地方公共団体等も事前策を講じることができるであろう。だが現実問題として、固定資産は私有財産であり、個々の資産の維持/売却等の意思決定は所有者の個別の状況によるため、今後の状況を予測することは困難である。 そこで今年度は、所有者不明土地(家屋)を予測する第1段階として、空き家のリスクファクターについて考察した。具体的には、現在居住している住宅と居住していない住宅との外観の差異について個票データを用いて定量的に示し、空き家化する要因の影響度合いについて検討した。大きく以下2点について解明した。①木造、腐朽あり、共同住宅、前面道路2m未満の住宅は、それぞれ他条件に比べて空家になる確率が有意に上がる。② 地方別にモデルを分ける方が精度(疑似決定係数/RUC)が上がる。 全国的な傾向として、「木造、腐朽破損がある、共同住宅、接道がない」が非居住住宅である確率が高いことが示された。さらに階層クラスター分析を行い4つのグループに分けて再度分析を行ったところ、上記は特に小規模・中規模都市を擁する県の傾向であることが示された。北海道や小規模都市を擁する県に関しては、有意差を示すことはできなかった。 また北陸地方の全体的な傾向として、空き家率は比較的低く、居住有一戸建て割合が高いことが示され、空き家のオッズ比は防火木造よりも鉄骨造住宅の方が高い(有意ではない)こと、腐朽有共同住宅のオッズ比が有意に高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、当初よりデータ収集、整備等に重点を置いたうえで予備的分析を行うことに主眼を置いていた。データ整備はある程度進んだが、いくつかの予備的分析を踏まえて、データの追加の必要性や分析ツールの形式に合わせるための調整も要する。次年度では当該点を緊急課題とし、二段階目の分析に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ベイズ推定や空間計量経済学の手法を用いながら予測の精緻化を進めたいと考える。ただし、現行収集データは個票データではあるが、居住区域が都道府県ベースとなっていたため、他の町丁目データとの結合のために調整もしくは推計する必要がある。この作業が難しい場合には、全く異なるデータ収集を始める必要も考えられ、検討を進めている状況である。
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Causes of Carryover |
年度末に開催された学会報告時の旅費を残していたが、オンライン開催となったため残額が生じた。新年度では対面の研究会、学会が増え始めており、当該残額も用いながら積極的に発表の場に出向く予定である。
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Research Products
(3 results)