2021 Fiscal Year Research-status Report
How do older adults feel happy though they have disease or disability? The longitudinal study in Japan and South East Asia.
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21K18453
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (30621198)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 幸福度 / 高齢者 / 国際比較 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
日本、ミャンマー、マレーシアの高齢者コホートデータの整備と調査を進めた。日本の疫学調査のデータは2019年に実施した健康と暮らしの調査(JAGES調査)の新潟市と十日町市のデータを用いることが可能である。ミャンマーにおける追跡調査は2021年2月に発生した軍事クーデターの影響で訪問による調査はできていない。代わりに電話による追跡調査を実施し、対象者の生存や健康度の確認を行い、追跡データとしている。マレーシアについてはセランゴール州の調査は2019年の横断調査で終了しており追跡調査は現地の事情により実施できなかった。代わりにマレーシアサバ大学の協力によりボルネオ島側のサバ州の農村部高齢者に対して追跡を前提とした訪問調査の実施を計画した。 ミャンマー、マレーシアそれぞれにおける高齢者の幸福度と関連する要因について検討した。全体の分析の準備としてそれぞれの国の高齢者の幸福度と関連する要因について分析した。ただし、これらの分析は全て一時点の横断データによるものである。 一方で、小規模コホートの追跡調査として新潟県十日町市で2021年10-11月に対面調査を行ったが、一度に実施することができない頭部MRI検査は現在も継続中である。初回横断調査は2017年に実施したもので、4年後となった追跡調査ではADLが落ちたり体調が悪かったりして相当数の脱落があった。このことから病気と障がいがありながらも幸せを感じている高齢者の全体像に迫るためには、公民館等に来場してもらうスタイルの調査では限界があり、今後、研究目的を達成するための方法を考えて行く必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各国のデータの整備を着々と進めており、ミャンマーとマレーシアにおける分析も横断分析ではあるが、すでに論文化まで進んでいる。研究の目的である“病気または障がいを持つ高齢者において人生の満足と安心(いわば幸福感)を規定する要因を文化横断的に疫学分析により探索し、超高齢社会で人類が目指す新たな指標を模索する”、の検討材料を着実に収集し分析まで着手できている。 一方で、小規模コホートの追跡調査を実施したものの、調査参加者にはバイアスがかかっている可能性が考えられる。つまり、初回横断調査から4年後である2021年の調査では、公民館等に来場してもらって面接や体力検査等を実施するスタイルであったため、比較的健康を保つことができている人ばかりが来場して検査を受け、本研究で最も注目している“病気と障害がありながら幸せを感じている高齢者”の実像に迫ることが難しい可能性がある。この点は調査を実施してみるまで分からなかったことであり、進捗が捗々しくないと言うことにはならない。今後、研究目的を達成するための代替的な手段を検討して行くことで、さらなる進捗を望めると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各国の高齢者疫学調査データがそろった段階で、データをハーモナイズし、社会・文化環境(暮らしている国、都市度、政治、宗教を含む)。自己、他者、社会それぞれどの要因が高齢者の幸せを規定しているのかマルチレベル重回帰モデルにより分析する。また、自己×他者、自己×他者×社会の交互作用を検討する。つまり、どのような個人がどのような他者との関わりがあれば、幸せなのか、さらには生きる国や社会によって異なるのかを検討し、病気や障がいを持つ高齢者の幸せの指標開発に資する分析を行う。 病気や障がいを持っていても幸せを感じる高齢者の実像に迫るために2021年に実施した来場調査に参加できなかった高齢者を対象とした訪問調査や、すでに運動機能や認知機能が低下し、介護が必要な状態になっていることを考慮して、高齢者本人ではなく、家族や地域で見守る方を対象としたアンケート調査などを検討する。 マレーシアサバ州の高齢者調査はこれから実施する調査であり、データ収集後に分析に加えて行く計画である。
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Causes of Carryover |
ミャンマーにおける調査は訪問調査を計画していたが軍事クーデターの影響で訪問調査が困難となり必要な調査費用が減少した。マレーシアサバ州における調査は時期が遅くなり今年度の支出が少なかった。また、渡航して研究調査の調整や意見交換をする予定があったが新型コロナウイルス感染症の流行が長期化しており、海外渡航の」機会を得ることができなかった。これらの状況により、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Factors Associated with Happiness among Malaysian Elderly2021
Author(s)
Shah Shamsul Azhar、Safian Nazarudin、Ahmad Saharuddin、Wan Ibadullah Wan Abdul Hannan、Mohammad Zulkefley bin、Nurumal Siti Rohani、Mansor Juliana、Addnan Mohd Fairuz、Shobugawa Yugo
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Journal Title
International Journal of Environmental Research and Public Health
Volume: 18
Pages: 3831~3831
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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