2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the Effects of COVID-19 on Children
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21K18459
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
阿部 彩 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60415817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直子 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任研究員 (10817208)
川口 遼 名古屋大学, ジェンダーダイバーシティセンター, 特任助教 (20795942)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新型コロナ・ウィルス感染拡大の前後の子どもの生活実態調査のデータを用いて、コロナ禍の休校や親の就労状況の変化等による子どもへの影響が、どれほど社会経済階層(SES)や世帯タイプ、親の就労状況、ジェンダー等子どもの属性およびコロナの親の就労への影響度によって異なるのかを明らかにすることである。 これを明らかにするために、本研究では東京都X区の小学5年生のその保護者のデータを用いて、コロナ禍の影響を分析する。分析軸として、コロナ禍の前後比較および、コロナ禍によって影響を受けた世帯と受けなかった世帯の二つを用いる。 初年度においては、データのクリーンアップ・整理・選考研究の整理、分析、そして、主に後者の分析軸による分析を行った。そして、初期分析の結果をいち早く、自治体職員、一般市民に啓蒙するため公開シンポジウムを行った。分析結果は、学会誌への掲載(2021年12月)、国際学会での報告(Froundation for Ineternational Studies on Social Security とEast Asian Social Networkのジョイント学会, 2021/7/2香港オンライン)、国内学会での報告(社会政策学会2022年5月15日、名古屋大学オンライン)により公表済である。公開シンポジウムは、2022年2月18日にハイブリッド(対面+オンライン同時配信)によって開催され、沖縄県、高知県黒潮町の自治体職員をパネルに加え、本研究からの成果を報告およびパネル・ディスカッションを行った。参加人数は計171名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、東京都X区のデータを用いて、コロナ禍による休校による子どもへの影響を分析し、3本の論文を完成させた(①1本は既に学会誌掲載および国際学会での報告、②う1本は2022年5月に学会発表、③1本は東京都立大学子ども・若者貧困研究センターのワーキングペーパーとして公表)。 ①の分析により、親の就労状況と収入については、貧困層およびひとり親世帯により大きな悪影響を及ぼしたことがわかった。また、学力低下、体力低下のほか、子どもの孤独感といった心理的影響も貧困層およびひとり親世帯に有意に多かったことがわかった。②の分析からは、休校中の子どもへのマルトリートメントの発生は、世帯収入の減少、親の就労状況の変化とは別に独立して家計支出の増加と関連していることがわかった。③の分析からは、外国ルーツの保護者が、日本人の保護者に比べコロナ禍による経済的影響が大きかったことがわかった。 また、2022年2月に自治体職員および一般市民向けの公開シンポジウムを行った(参加人数 計171名、うち、官公庁職員57名、大学・研究機関の研究者27名、学生・院生16名、メディア13名、一般58名))。シンポジウムでは、上記の研究成果のほか、国内外におけるコロナ禍による子どもへの影響に関する研究レビュー、日本における休校措置の状況のレビューを報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度であることから、既に執筆済の論文の投稿および新しい分析として、コロナ前後の子どもの状況の変化を分析する。分析手法としては、東京都X区の子どものデータを用いて2016年と2020年の子どもの生活実態調査の比較および、2020年データにおける前年度の情報と今年度の状況の比較である。また、コロナ禍の子どもの状況について、初年度の分析にてカバーされなかった分野(栄養、運動量、友だちとの交流)についてもコロナ禍の影響を分析する。
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Causes of Carryover |
2021年度においては、コロナ禍によりデータクリーニングのための院生雇用が遅れたこと、論文の掲載がオープンアクセスでなかったこと、また、公開シンポジウムをオンラインで行わざるを得なかったことにより経費が予定より少なくなった。しかしながら、2022年度においては、院生雇用が4月から可能であるため、2021年度の遅れを取り戻す予定である。また、投稿論文などが国際ジャーナル等で掲載となることが見込まれ掲載料などの経費も発生すると考えらるため、2021年度の経費を2022年度に使用する。
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Research Products
(5 results)