2021 Fiscal Year Research-status Report
沖縄/日本/アメリカ、女/男の分断を超えた視点の構築-作曲家・金井喜久子を中心に
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21K18466
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
内田 順子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60321543)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 沖縄音楽研究 / 女性作曲家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、女性作曲家として、日本で初めて本格的な交響曲を作曲した人物である金井喜久子(1906-1986)の活動に関する未整理・未発表の資料群を整理・可視化し、情報を分析することによって、喜久子の事績を実証的に明らかにすることを目的とする。 2021年度は、喜久子が残した文書(チラシ・プログラム)を中心に資料整理を実施した。ご遺族が保存管理するこれらの資料について、2021年10月16日、10月23日、11月6日、11月13日、11月27日、12月11日、2022年1月8日の計7回、調査を実施し、文書約141点について簡易目録を作成した。 これまでに整理ができた文書資料には、喜久子が作曲家として活動を始めた初期の演奏会や、ブラジル渡航に関連して開催された音楽会などの中期の多様な音楽イベント、また、ひめゆり平和祈念資料館建設のためのチャリティー演奏会などの中期から後期にかけての社会運動と演奏会に関わるチラシ・ポスター・プログラムが豊かに含まれており、これまでは喜久子の自伝の記述に多くを頼らざるを得なかった喜久子の音楽活動の事績を、具体的かつ実証的に明らかにできる見通しを持つことができた。 また、これらの文書資料には、演奏会開催の経費に関わる資料のほか、喜久子の音楽歴が確認できる資料、演奏会招待者名簿なども残されており、これらの分析を進めることで、喜久子が置かれていた音楽環境や人的ネットワークについても有用な情報が得られる見込みであることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金井喜久子のご遺族の私邸に保管される資料の調査であり、ご遺族の立ち会いと協力のもとで調査を進める必要があり、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置期間は、COVID-19の感染防止の観点から、調査を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染防止対策をした上で、文書・写真資料の調査と目録作成を進める。喜久子が開催した主要な音楽イベントを中心に文書の分析を進め、喜久子の音楽活動とその社会的反響を実証的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染防止対策として、調査地に緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が出されている期間は調査を見送らざるを得なかった。そのため、予定よりも調査が遅れ、調査に必要な機材の購入やデジタル化についても、次年度に実施することに計画を変更した。
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