2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18483
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 視覚障害 / 知覚情報処理 / 全盲者 / 情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に全盲者のPCの操作については、画面が見えにくい場合には画面拡大ソフトを利用し、画面を見ることが難しい場合には画面情報を読み 上げるスクリーンリーダーを用いていることで必要な情報を適時的確に獲得する方法がとられる。ところが、このような情報は一般に一次元の 構造をしていることから、単位時間あたりに獲得できる情報量が極端に少ない。そのため、何かをするにしてもある1作業のみしか処理ができ ないという制約が生じるとともに、音声による情報獲得においては脳内に記憶できる情報量に限界が生じる。その結果、例えば、構造の複雑な 数式などを利用した学習などのシーケンシャルに情報を得るしかないことが原因となって、同一時間に複数の情報を把握することが非常に困難になる。そこで、この研究では、全盲者の個々の知覚特性に着目して、映像で得られる情報構造とは全く異なる情報獲得手段のモデルを解明することによって、見た目の構造にとらわれない情報構成方法を検討を行った。 今年度の研究では、全盲者の置かれている情報空間の特性および情報解析要素の解明を中心に検討を行った。まず、全盲者が周囲の環境等を把握する際に活用している情報モデルの解明を着目し、実際に手に触ったり身体に接触する以前に壁や柱などの空間上に存在する物体の方向や距離を検知できる全盲者の協力を得て、空間認知特性について環境音の要素について調査を行った。この調査では、さまざまな環境を合成的に作成し、障害物と錯覚するケースの洗い出しを行い、全盲者が周囲環境を検知するケースを詳細に洗い出すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染対策による影響で協力者による評価等の活動はできなかったが、全盲者の知覚特性について、ケーススタディを中心とした検討を行い、特に、周囲環境音等によって全盲者がどのような認知を行うか個々のケースを洗い出すなどの検討を行うなど、当初の計画のとおりに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
一般に、人間は使える機能を最大限に活用する特性がある。この研究課題では、特に、視覚機能を失った場合に、人間が残された感覚機能を活用するモデルを解明することにある。特に、全盲者がこれまでの生活環境の中から生み出した独自の感覚機能の活用モデルに着目し、特に、周囲環境の把握に関連する機能の活用モデルを解明することに集中する。このモデルの解明には、全盲者が単独で移動することを可能にするモバイルアプリケーションの開発を通じたインタフェースモデルのための周囲環境の情報共有のモデル構築を通じて、本研究課題の解明を試みることとする。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた触覚ディスプレイが生産中止となっており、その代替手段の装置の入手に係わる調整に時間がかかっていること、課題解決に係わる評価がコロナ感染拡大による影響で実施できず、それを論文にまとめ成果を公表するるなどの取り組みにかかる経費が支出できなかったため。現在、触覚ディスプレイの製造メーカーと調整を進めており、生産が可能で購入予算の範囲で処置が可能であれば、それらの購入費用として使用する予定である。
|
Research Products
(11 results)