2023 Fiscal Year Annual Research Report
大学等の実験室における多様性をふまえた客観的な評価指標の深層学習による開発
Project/Area Number |
21K18491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
主原 愛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (10825665)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ヒュームフード(FH) / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク(CNN) / 使用状況評価モデル / Grad-CAM / 自律的な安全管理を支援するツール / 実験室 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所排気装置(FH)は、実験研究現場で化学物質の人へのばく露防止装置として用いられ、その性能は法定の点検等の機会を通じて定期的に確認される。一方で、FHがばく露防止装置としての機能を果たすためには、普段の使用において適切な使い方がされることが必須条件であるにもかかわらず、使い方についてはガイドライン等の一般的な注意喚起にとどまっており、使用状況の良し悪しを評価する手法が存在しないのが現状である。そこで本研究では、専門家が判断する状態の良し悪しを機械的に再現するモデルの構築を行った。 1.深層学習で用いるCNNモデルの構築 使用中のFH写真の状態の良し悪しをFHの専門家に5段階で評価してもらい、AlexNetのCNNモデルを用いて評価値付きのFHの画像データを深層学習させた。その結果、畳み込みニューラルネットワークを用いた学習モデルは93%の正確率でFHの状態を判定し、機械的評価は専門家評価を数値的に再現することが示された。この結果は、現状では専門家に依頼して初めて得られるFHの状態評価が、写真一枚さえあれば、本手法を用いて実験者自らでも非常に簡単に、平易な数値評価で、高精度に得られることを示している。 2.Grad-CAMを用いた本モデルの判断根拠の視覚化 本モデルで再現したFHの状態評価はブラックボックス化しているので、数値評価の根拠を写真内への可視化を試みた。全てのFHで必ず判断根拠になる特定のエリアはなく、FHによって判断根拠となるエリアに特徴のあることが明らかとなった。モデルが抽出した判断根拠のエリアと現場で用いられるチェック項目等の項目が類似していることから、本モデルが人の判断根拠を機械的にある程度再現できたと考えられる。 本研究で着目した客観的な状態評価は、主観や思い込みを排除した自律的な安全管理を支援するツールや、「改善点」を教えてくれるツールへの展開が期待される。
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